『Evalice Saga』レビュー|サガシリーズへのリスペクトが光る長編フリーゲームRPG

〇歴代サガシリーズのゲーム性や世界観を詰め込んだシリーズリスペクトRPG
〇ストーリー、キャラクター、システム、グラフィック、音楽、やり込み要素の全てが高水準
〇後日公開された拡張版にて更に快適にやり応えある作品へと昇華

目次

概要

ファン有志によるロマンシングサガ風のフリーシナリオ長編RPG。サガシリーズの特徴であるバトルやフリーシナリオをベースにしつつも、独自のオリジナルのストーリーを展開。さらには各方面で大量のオマージュが散見され、あらゆる面でサガへのリスペクトが感じられる一作。プレイ時間は約30時間程度。本家へのリスペクトのためか、難易度も高い。まぁサガだしね。

本作のレビューはEvaliceSaga制作者の1人であるmemeso氏が非公式に追加要素を加えたバージョン(EvaliceSagaExpansion)をとして執筆しています。本バージョンはEvaliceSaga制作陣から許諾を得ていますが、扱いとしては個人制作の非公式拡張版です。しかしながら、倍速モード、エンカウント調整、難易度調整、連携システム改善、主人公増員、やり込み要素追加とオリジナルと比べてかなり遊びやすくなっているため、本バージョンをプレイすることを強くオススメします。

ストーリー

サガと言えば主人公選択!オリジナル版は一人しか選べなかったが大幅に増員された。

魔族は人間に憑りつき宿主に人ならざる力を与える。
しかしその力を行使すれば魔族はその代償に身体の自由を少しずつ奪っていく。
例え魔族に魅入られ力を得たとしても、それを行使してはならない。
人間としての尊厳を守りたいのであれば。

『それ』を手にした者は永遠の命と絶大なる力を手に入れる。
己の欲望に身を任せ力を使えば、その代償に『それ』は宿主の肉体を侵食していく。
気づいた時には既に遅い。『それ』は人の中にある『その力を決して行使してはならない』

その男は孤独だった。世界中を放浪し永い時を人として生きながら。
数多の人間の生死を見つめ、魂の安息を歌った。

それから数千年。歴史は繰り返し、世界に再び混乱の時代が訪れる。
静かに滅びに向かう世界を目の当たりにして彼は世界に何を望み、何を成すのだろうか?
これは『それ』を巡る、今はまだ誰も知らない物語...

ゲームシステム

サガシリーズを大いにリスペクトしたゲームシステム

サガと言えば連携!決まった時の爽快感は2Dでも同様だ

基本的にはシンボルエンカウント+ターン制でバトルが進む。全員のHPが無くなるとゲームオーバーであり、サガシリーズ定番のLP(戦闘不能になっても立ち上がれる回数)は存在しない代わりに、倒れるたびに最大HPが減るという仕様となっている。また、同じくサガシリーズで定番の二大要素が戦闘のかなめとなる。

【ひらめき】
味方の行動時に特定のスキルを使うと確率で頭に💡が浮かび、追加で新しい技を発動し自分のものに出来るというもの。敵とのレベル差があるほど強いスキルを閃きやすい特性から、場合によっては窮地を脱するキッカケにもなるロマンシングシリーズ以降の定番要素だ。なお対象は物理(剣、小剣、大剣、槍、斧、弓、体術)・盾スキルのみであり、各属性術に関しては主にショップで購入することになる。

【連携】
これもサガフロンティア以降の定番要素だ。上図の通り行動順(左下)が味方同士で隣り合い、かつ攻撃スキルを選択しており、かつ連携ポイントが足りていれば行動の合間に決定ボタンを押すことで連携が発動する。連携すればするほど単純にトータルの威力が大きく増すため、積極的に使っていこう。条件さえ満たせばどんなスキルの組み合わせでも任意で連携を発動できるので、本家シリーズと比較すると本作のそれはかなり簡単な部類だといえよう。なお、ちょっとしたテクニックとして、敵の行動順を遅らせる『バンプ』付きスキルを連携に使用することで行動準が隣接していないキャラクターも連携に参加できたりもする。

余談だが、オリジナル版では連携ポイントがかなり少なく設定されていた。その影響で特にボス戦など戦闘が長引くケースでは連携が使えずジリ貧な戦闘が展開されることも多かった。追加要素版では連携ポイントが大幅に追加されており、連携し放題で爽快感を重視するゲームバランスへと改善。しかし連携ばかり使ってるとその分ひらめきの機会が少なくなるという弊害もあり、無闇に使うのもまた考えようである。

メニュー画面あれこれ

攻撃レベルやステータスは戦闘を重ねることで自然に上昇していく

メニュー画面についても簡単に説明しておこう。どのキャラクターも長所短所を抱えており、例えばこの例だとゲオルグは剣/盾をメインに高い資質を持っており、盾のレベルが特に高い(Lv10)ことが分かる。反面魔力は低く魔術には期待できないといったところ。EQUIPMENTでは取得したアイテムを装備できるが、各武器には攻撃回数の制限(EP)があるのが特徴だ。SKILL/MAGICでは習得した物理・術スキルを閲覧することができる。

最後に説明するSTYLEはちょっと特殊で、自身の成長に応じてパラメータ上昇など特殊な恩恵を受けるロール(役回り)を習得でき、それを最大でつまで身に着けられる。特にゲオルグは盾の成長が著しいので防御に特化したロールを習得しやすいというわけだ。他にも体術ロールならば素早さや腕力が増えやすく、術系ロールなら魔力が増えやすいといった特徴がある。

エヴァリースの世界を巡る旅へ

ワールドマップはかなり広く、多彩なマップへとプレーヤーを誘う

本作はサガ特有のフリーシナリオであり、物語の結末はあれど決まった攻略順序が存在しない。酒場などで話を聞き、ワールドマップ内で行ける街やダンジョンを増やし、大量のサブイベントをこなすことでいずれはメインシナリオ攻略に繋がるというフローチャートだ。ここで面白いのは、サブイベントでは選択によっては報酬が増えたり、逆に減ったりもする。最悪の場合、サブイベントを遂行できず町や村が滅びたりすることだってある全ては予定調和で進まないことの面白さを堪能いただきたい。あなたの気の向くまま、エヴァリースの世界を巡ってみよう。

サブイベント総数はかなり多く、やりごたえあるボリュームだ

評価したい点

サガシリーズをリスペクトした全てが高クオリティなゲームデザイン

サガと言えば戦闘システムだが、マップも細部まで作り込まれており世界観の構築に一役買っている

本作は一言でいえば『ファン有志によるロマンシングサガ風のRPG』なのだが、何もかもが高クォリティかつ、サガファンならニヤリとする要素が大量に盛り込まれているのが特徴だ。全体的なUIはもちろん、各種スキル名や動作が『失礼射、ヴァンダライズ、無拍子、イルストーム』などいろいろと似通っていることは当然として、その他にも豊富なメイン/サブイベントでは『謎の詩人/アリの襲撃/魔族四公/私が族長です/もう帰る』など、大ボリュームがゆえに正直なところ著者が把握しきれていないものも含めるともっと多いだろう。

更に面白いのはゲームシステム周りの要素がこれまでのサガシリーズの集合体のような形になっていることだ。『ひらめき』こそロマサガから続く定番要素だが、その他にもサガフロ以降の定番要素『連携』、ミンサガの『BP/EP/マップアビリティ』、サガスカの『バンプ』、サガ2GODの『チェーンバトル』、極めつけは兄弟作(サガ制作スタッフが制作に関与)のレジェレガアラアラから『マップ踏破率/戦闘不能で最大HP減少』まで反映されている。ここまでサガ要素をぶっこんでおいてもなお、ゲームバランスの大筋は破綻していないのは素晴らしいといえるだろう。それに、これらの要素を下支えするグラフィックやアニメーション、UIも高いクォリティを誇ることを忘れてはならない。

ほかにも、本家シリーズと見間違うほどの広大で壮大で美しいワールドマップ/2Dマップも素晴らしい。街、村、城、草原、森林、雪国、城、砂漠、渓谷、列車、海底、果ては倭国などあらゆるマップが存在し、冒険を進めるごとに行けるマップが増えるため遊んでいて飽きがこないのだ。ちなみに砂漠などマップによってはかなり広い傾向があるが、倍速モードやエンカウント調整があるのでストレスを感じることは少ないはずだ。

それにサガシリーズと言えばBGMに関しても忘れてはいけない。本家シリーズは言わずと知れたゲーム作曲家『イトケン』氏により戦闘BGMを中心に高評価を博している。しかし本作も負けず劣らずであり、かつてのSFC時代を彷彿とさせるような世界観にマッチしたメリハリの効いた楽曲が盛りだくさんなのだ。なかでも戦闘BGMなら魔族四公はぜひ聴いていただきたいし、(他作品でも採用される有名な曲だが)氷の女王も捨てがたいところだ。ほかにも戦闘BGM以外ならばザッハーク城のテーマイスカンダリアのテーマカナンのテーマイースタのテーマなど、きっとお気に入りの曲が見つかるはずだ。

ようするに、本作で相対する何もかもがサガへのリスペクトを感じられるのだ。本当に素晴らしい。

複数のストーリーラインでやり込み要素もあり大ボリュームな一作

メインシナリオ “メカ” の相棒が酒飲みの “ゲン”フリー というのもなかなか味のある組み合わせだ

さて、本家シリーズはやり込み甲斐がある作品としても有名だが、本作も同様にすさまじいボリュームを誇る作品である。まず、ストーリークリアは初見だとざっと30時間くらいはかかるだろう。これだけでも十分に凄いボリュームなのだが、更に拡張版では複数主人公の6人構成である。一応各種ステータス等を引継ぎ周回プレイが可能なので単純な掛け算ではないものの、本気でやり込むとなるとそれなりの時間をかける必要があるだろう

更にゲームクリア後はEXダンジョン超強化された裏ボスと戦うことができ、条件を満たすと『やりこみの証』を入手できるのだが、これもまた名前通り大変難しいのである。体感だが一周クリアした程度の戦力では難しいかもしれない。ちなみにプレイアブルキャラはなんと総勢48人!パーティインできるキャラクターが9人で戦闘参加キャラが5人であることを考慮すると本作の奥の深さが良く分かると思う。本作にハマった or ハマる予定のそこのあなたはぜひ頑張ってやりこみの証を取得していただきたい。

気になった点

本当に重箱の隅をつつくようなことなのだが、良い点を持ち上げすぎたのでこちらも簡単に書いておこう

周回プレイがやや面倒

周回プレイ時は育てたキャラのステータス値は完全に引き継がれる。それは良いのだが、世界中を巡ったマップ到達履歴が完全に削除され、開拓をやり直しになってしまうのが少々痛い。前周で育てた仲間を回収するのも少々面倒である。

種族の違いによる変化は無し

シナリオ進行によっては人間キャラ以外にもメカ、モンスター、妖魔が仲間になるが、種族ごとの違いは存在しない。サガフロンティアのようにキャラクター毎に特別な育て方をする必要はなく、全て人間と同じである。よって、戦術の幅はもちろん広いが広すぎるというわけでもない。

エンカウント調整機能がややバランスブレイカー

この機能は無条件かつ無制限にオンオフすることができる。雑魚と一切戦わなくて良くなるのでストレスフリーな反面、雑魚との戦闘レベルが上がらない、複数の敵シンボルを巻き込むチェーンバトルが実質無意味、ダンジョン攻略のドキドキ感が薄れるという問題もある。著者の場合も戦闘レベルが全然上がらなかったので一部の固定雑魚と戦いレベルを上げることになった。ストレスフリーも行き過ぎると考えものかもしれない。

総評

サガシリーズのあらゆる面を模倣しリスペクトしつつ、独自の要素も追加することでオリジナリティを出すことにも成功したRPG。クォリティ高く欠点もほとんどないので強くオススメしたい一作である。とにかく古き良きサガシリーズが好きな人は遊んでみる価値は大いにある。

ゲームプレイリンク

攻略WIKI

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脚注

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