目次
概要
ストーリー
ゲームのすすめかた
- 本作は事件パートと推理パートで分かれてストーリーが展開していく。
- 主人公であり探偵の御影 吹郎と助手の小戸森 日向子は現場に行かず、寄せられた手紙に付属された情報を確認し推理していく流れとなる。
- このように推理する形式のことを安楽椅子探偵という。
- 探偵は事件に関与せず椅子に座ってゆっくり推理することからこう呼ばれているそうな。
- 実際は事件パートで事件を追体験するので完全な安楽椅子探偵というワケではない。
- このように推理する形式のことを安楽椅子探偵という。
- 主人公であり探偵の御影 吹郎と助手の小戸森 日向子は現場に行かず、寄せられた手紙に付属された情報を確認し推理していく流れとなる。
- 事件パートではとあるキャラが語り手となり、一人称視点でストーリーが進行。
- 通常のノベルゲーム形式で一本道で進むので、困ることは無いだろう。
- 事件パートがひと段落すると幕間、推理パートになり『コウサツ』が行われる。
- このパートでは新聞や写真など依頼者から寄せられた情報を調べキーワードを取得し、それらのキーワードを正しく事件メモに穴埋めすることでストーリーが進行する。
- 『推理』ではなく『考察』であり、寄せられた情報を基に事実を明らかにするのが主であるため、推理要素は低く難易度は低め。
- 公式HPに回答があるため、どうしても分からない人はそちらを参考に。
- このパートでは新聞や写真など依頼者から寄せられた情報を調べキーワードを取得し、それらのキーワードを正しく事件メモに穴埋めすることでストーリーが進行する。
- 解決パートでは出不精な探偵もようやく現場に向かい、推理を披露する。
- 犯人を当てる必要があるが、間違えてもゲームオーバーは無いのでご安心。
評価したい点
丁寧に練られた安楽椅子探偵ミステリー
- 一般的に広く知られているミステリー作品の多くは探偵役が現場に出向き、事件に遭遇する中で推理し解決に向かうのが定番であろう。1
- しかし前述したように本作は事件パートと、推理パートで交互に進行していくという一風変わったストーリー構成である。
- このハイブリッドな構成にすることで、プレーヤーは安楽椅子探偵になりきり推理を行いつつ、かつ事件の追体験もできて二度美味しいというワケだ。
- 謎解きもしっかり考えないと分からない良い塩梅だったように思う。
- その一方で誰にでもクリア出来るよう上手く配慮もされていた。
- 副産物として気になる点も出てきたがコレは仕方ない(後述)
- その一方で誰にでもクリア出来るよう上手く配慮もされていた。
巧妙に仕組まれた仕掛け
- 本作は推理要素はもちろん、作品内でちょっとした仕掛けが仕組まれている。
- それを受け入れられるかどうかが本作を気に入るポイントかもしれない。
その仕掛けとは(ネタバレ注意)
- 解決編にて、事件パートの語り手が蓮司であるように見せかけ、実際は椿屋敷の亡霊である葉月だったというオチが明かされる。
- プレーヤーの認識を誤認させるいわゆる叙述トリックとして、信頼できない語り手という技法が用いられていることが分かる。
- 認識誤認させようとする作り手側の意図は明確で、解決編まで蓮司の立ち絵が一切表示されないのは不自然(常に蓮司/美毬の傍に居たとはいえ)であり、語り手(葉月)の思惑から蓮司に関する主語が抜けている場面もあった。
- とはいえ、語り手が蓮司≒葉月として特に違和感無いよう構成された脚本は見事であり、このトリックに最後まで気づけなかったプレーヤーも多いのでは?
- (実際は異なるが)語り手が犯人というのは固定概念かつ盲点であり、蓮司に疑いをかけるのはなかなか難しいのではないだろうか。
- 更に言うと、これは主語や目的語があいまいな日本語をメインにしているからこそ成立しているトリックではないのだろうか?
- この手の作品では「〇〇の仕業だ⇒トリックだそんなものは居ない」が定番だが、実は居たというどんでん返しな構成になっているのも、また面白い。
- 注意深く観察すればトリックに気付ける公平さもポイント。本編ラストで明かされた点以外で、幾つか例を挙げよう。
- 最大のヒントは宗彦殺害後、居間にて全員の立ち絵が表示されるイベントスチルであり、これまでに紹介されてないキャラが映っていることが確認できるはずだ。
- 直ぐに葉月の顔ドアップで隠れてしまい、そちらに意識が向く構成もまた上手い。
- (最初の会合で)気休めの声をかけられたところで美毬の表情に変化はない。
- 正確には「かけた」が正しく、受け身的表現になるのはやや不自然。
- (最初の会合で)僕はどこに居ていいのかわからず、とりあえず蛭沼側に戻った。
- 語り手が蓮司なら蛭沼側に戻るのが当然であり、悩む必要が無い。
- (殺人発生後)僕が自由に動ける分、屋敷を見張っていなければいけない。
- 蓮司だけが特別で自由に屋敷を動ける、というワケではないはずだ。
- (華江殺害後)蔵の中で首を吊っている死体(人形)を華江だと即断定したのは蓮司で、容一郎からはその死体は美毬ではないのかと疑問を持たれている。
- (地下室発見後)地下室の事は子供の頃に知っていた発言。
- 蓮司は初めて発見したはずなのにその発言は不自然である。仮に本当に蓮司が子供の頃から知っていたとすれば蓮司が怪しいと推理することも出来る。
- 最大のヒントは宗彦殺害後、居間にて全員の立ち絵が表示されるイベントスチルであり、これまでに紹介されてないキャラが映っていることが確認できるはずだ。
- 納得いかないプレーヤーも居たかもしれないが、実はこのように多くのヒントが散りばめられていたのである。
- そして、実に綺麗なタイトル伏線回収なのは言うまでも無い。
イベントスチル満載
- 3時間程でクリア出来る短編ながら、その総数は48枚とかなり多い。
- ノベルゲーム形式のゲームでは文字ばかりだとどうしても退屈になってしまうので、この配慮はとてもありがたく、きっと最後まで飽きずに楽しめるはずだ。
- 単に多いだけでなく、どこか不気味さがありつつ全体的に美しい。
- 本作の舞台である椿屋敷の装飾はもちろん、汽車なんかも登場したりして昭和初期の雰囲気が良く出ているし、登場人物それぞれも良く描き分けられていたように思う。
気になった点
総じて難易度はやや低め
- 推理パートでは上図のように穴埋めしなければ先に進めないが…。
- 推理パートで求められるのは『コウサツ(物事を明らかにするためによく考え調べること)』であり、ストーリー進行で判明した事実をベースに情報を整理するだけで話が進むので、実はあまり深く考えてなくても良かったりする。
- 解決編で犯人を当てる際も、結構ヒントが出るので割と消去法で何とかなる。
- 話はやや逸れるが、プレイ中いつでも参照できる『人物表』『家系図』に加えて『屋敷の見取り図』も見れると推理の足しになって良かったのではなかろうか。
- 推理パートで求められるのは『コウサツ(物事を明らかにするためによく考え調べること)』であり、ストーリー進行で判明した事実をベースに情報を整理するだけで話が進むので、実はあまり深く考えてなくても良かったりする。
- 解決編にて犯人を当てられない時の結末もややあっさり気味か。
- 誰を当てても「あ、えーと。いや、違いますね……」のみで元の選択肢に戻る。
- シンプルで間違えた人には優しいが、ゲーム的にはやや物足りなく感じた。
- 犯人ではない理由を解説して選択肢に戻る、なんていうのはどうだろう…?
- 誰を当てても「あ、えーと。いや、違いますね……」のみで元の選択肢に戻る。
総評
今では少し珍しい安楽椅子探偵の推理を楽しみつつ、事件を追体験できるハイブリッド構成はとても興味深く、最後まで楽しんで遊ぶことが出来た。そして何よりも最後のオチは見事だった。やや短めではあったが、全体的に完成度の高い作品であることは疑いようもない。最後は個人的な希望になってしまうが、今回の事件で終わりでは寂しいのでもっと吹郎君と日向子さんの活躍を見てみたい…。
ゲームプレイ
公式サイト
公式設定資料集
脚注
- あくまで私の推測に過ぎないが、安楽椅子探偵というジャンルは大昔のクラシックな推理作品に多くあった印象だが、時代とともによりエンタメ性のある劇場型探偵が主流になってきたのだろう ↩︎
コメント