LOOT

〇推理×能力の世界へようこそ
〇常識を覆す新感覚ノベルゲーム
〇質の高く楽曲数の多いBGM

目次

概要

『Creo Software』さん製作の同人ノベルゲーム。
リアル(推理)×アンリアル(能力)の世界へようこそ。
有料だけあって、良質なクォリティ。通常相容れない推理と能力を融合させた意欲作。

ストーリー

日々学業に勤しむ大学生、市松明人。
大学で試験やレポートをこなす、親友と他愛ない会話する一見するとどこにでもいる青年。
しかし彼は他の人間と違い、他人の会話を盗聴出来る能力を所有していること。

そんな日々を過ごす中で起きた一つの変化。
平和な街で起きた一つの殺人事件。彼の命運を左右する出来事へと発展する。
推理好きがこうじて興味を持ち事件を調べていた明人。
同じくこの事件に興味を持ち、明人に接触してきた女性。九条ミリヤ。
彼女に盗聴を仕掛けたところ、一度もバレたことのなかったはずの能力を見破られてしまう。

注意深くミリヤに接近する明人。彼女から次の事実を告げられる。
彼女の能力は察知。他人の発動した能力を察知することが出来るというもの。
これで自分に向けられた盗聴を察知されたのである。

そして察知した能力の中の一つで大変厄介な能力『盗賊』殺した人物の能力を自分のモノに出来る能力。能力を持っている以上は盗賊に殺される危険性がある。そのためミリヤから共同戦線を結ぶ提案を受ける。明人はそれを承諾し、共に盗賊を探しだすことに。

果たして明人は犯人を見つけ出すことが出来るのか。盗賊は一体誰なのか。
今、能力者による心理戦が始まる・・・!

ゲームシステム

本作の最終目的は、九条ミリヤと共に能力者「盗賊」を探し出すこと。
前提条件はゲーム冒頭である程度開示されている。
ゲーム進行で得られた情報をいつでもメニュー画面で確認が可能。
これらTIPSと、シナリオ進行で得た情報を収集。犯人を推理する。
選択肢はほぼ発生しない一本道シナリオであり、揃った情報から最終局面にて犯人を指定する。

評価したい点

リアルとアンリアルの見事な融合

  • 本来、推理作品に超能力の類はあってはいけないもの。
    • アリバイやトリックが何でもアリになってしまうことは想像に難くない。
      • 呪いだとか祟りだとか噂されても「そんなものあるわけない、犯人の仕業だ」となるのが定番。しかし本作は超能力をこれでもかと詰め込んだ推理作品。
  • 「盗聴」はPSホラーゲームの傑作、SIRENの視界ジャックをヒントにしているとのこと。
    • これは文字通り他人の視界をジャックする機能。
      • 自分を見ているキャラの視点を盗み見ることが出来るというワケ。1
    • 独自の盗聴ウィンドウの演出も中々いい味を出している。
      • 一度に多くの人の声を聴くことの大変さを上手く表現出来ている演出だと思う。2
  • TIPS『ノックスの十戒』について
    • イギリスの推理作家、ロナルド・ノックスが1928年に発表した、推理小説を書く上での10のルール。
      • 本作はその十戒とやらに反している。
        • ちなみに、推理小説『そして誰もいなくなった』もこの十戒を破っているが、今でも多くの人に愛される名著である。
        • 新しいものを産み出すには、セオリーだとか常識だとかに惑わされないことも大事ということだろう。
          • 実際、本作以外に推理と能力の融合を謳っている作品はあまり聞いたことが無い。
  • ストーリー開始時点で、本作ではゲーム開始早々で主人公及び周囲が能力を持っていることを開示している。
    • これは開始直後に「普通の人間が能力を使えることを前提で推理してくださいね」というメッセージである。
      • 普通の人間のはずが能力を使えたことが判明する推理と、最初から能力があること前提で推理する。
        • これらは全く意味合いが異なるはず。
    • 公式サイトではこのように謳っている。
      • 推理と能力の二つの融合を本気で考えたノベルゲーム。推理する上でのルールは用意してある。と。
        • まさにその言葉に偽りなし。推理ものも、能力ものもどちらも好きというかたにはピッタリの作品だと言えるだろう。
      • なお作者様いわく、影響を受けた作品は様々だが、本作を作る直接のキッカケになった作品に「十角館の殺人」を挙げている。
        • 古い作品だが傑作ミステリーとして知られており、コミック版も発売されている。
  • 何のヒントも無く能力持ちの登場人物の中から盗賊を探し出すのは至難の業だが、九条ミリヤの持つ察知がカギになる。
    • 彼女の存在は、主人公がこの殺人ゲームに巻き込まれるキッカケを作ると同時に、大変親切なチュートリアル役を担っている。
    • しかも、盗賊は無能力者を殺すと自分が死ぬ。といった具合に、彼らが持つ能力は万能ではない。
      • 彼らが持つ能力は多くは何らかの弱点、制約を持っている。
      • これらを踏まえると、推理と能力の融合というキャッチコピーが明確になってくる。

プレイ時間と比較しての楽曲数の多さ

  • ノベルゲームはゲーム性という要素は薄くなるため、音楽には是非力が入って欲しいところ。
    • その点、本作はその心配はなく、全てとは言わないまでも良曲が揃っている。
      • 楽曲数も全体のボリュームから考えれば多め。
        • 作曲者はなんと合計4人。きっとお気に入りの曲が見つかるはず。

気になった点

物足りないプレイ時間

  • プレイ時間は普通にプレイして大体3時間ほど。読み物としては少々物足りない。
    • 本作が「有料」同人ゲームということも考慮が必要。
      • 当時は1000円で発売されていたが、プレイ時間と比較すると少々高い。
      • 2023年からDL版は200円に値段改定された。
    • 短く綺麗にまとまっているとも言えるが、もっと長く推理を楽しみたかった。
      • もう少し掘り下げても良かったんじゃないか?そう思えるイベントシーンも幾つかある。

エンディング分岐

  • 本作はマルチエンディング方式を採用している。
    • 本作はほんの少しだけ選択肢があり、それによってエンディング分岐が発生する。
      • ここまではまだ分かるが、選択肢をどう選ぼうがその時の会話が僅かに変わる程度の変化でしかない。
        • ストーリー上の分岐は起きない。
      • そして、ゲームの最終局面まで殆ど変化が無いうえに、エンディング「だけ」分岐が起こるのがどうも違和感。
        • わざわざ選択肢を入れてまでエンディング分岐が必要だったのかと少々疑問に思う。

キャラクターの個性

  • 本作では、主人公やその他キャラクター含め、全体的に個性が薄味と評価されがち。
    • キャラごとに個性を付けようとして会話を工夫しようとするシーンは見られる。
      • 3時間程度という短いプレイ時間ではキャラの魅力を引き出すには少々足りなかったのでは?

総評

LOOTは本来相容れない、推理と能力の融合というテーマに果敢にチャレンジした素晴らしいノベルゲーム。推理作品も好きで、異能バトル作品も好き。そんなあなたには是非お勧めしたい作品だと言える。当時は値段と比較してやや物足りないプレイ時間ではあったが、今ならDL版が200円と破格。ジュース代を我慢して購入してみてはいかがだろうか?

ゲームプレイ

DLsite

脚注

  1. ノベルゲームであれば、視界ではなく聴覚のみのほうが得られる情報の制限がかかってシナリオ展開させやすいと思った。と、作者様は語っている。
  2. 一度に大量の情報が入ってくるのはプレイヤーには難しいのでは?という意見も出たらしく、結局は目新しさを優先する方向に舵を取ったとのこと。この情報を処理している主人公が、超人的な要素を持つ人間に描きたかったという狙いもあった模様。
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