Lost Heaven

〇商業に負けない良く練り込まれたストーリー
〇快適さを追求したストレスフリー仕様
〇難易度も低いのでRPG初心者にオススメ

目次

概要

「なみだ」様製作のRPGツクール製、フリーゲームRPG。
本作はストーリー重視の作品であるため、戦闘やダンジョン攻略といった要素にあまり時間を取られないのが特徴。それゆえ、10時間という比較的短めなプレイ時間でも濃密なストーリーを堪能することが可能。公開後のアップデートで、フリーゲームとしては珍しい部類の戦闘時のみフルボイス作品に。

ストーリー

フォーア村という小さな村で平和に過ごす主人公のライゼ。ヒロインのリーン。
彼らに共通して言えること、それは記憶が無いこと。この村は、記憶を無くした住民で構成された村である。また、村の掟として外部の人間と接触してはならない決まりもある、世界から断絶された村でもある。主人公のライゼは「自分がいったい何者なのか」記憶を取り戻したいと思う気持ちは日増しに強くなっていった。

そんななか、村長のお使いをしている最中、神教会の天使と出会う。
彼女によると、満月の夜に降り注ぐ光「エーテル」が汚染され始め、世界を救うと言われる「浄化の光」のため神々と契約する必要があるとのこと。

天使の神約に付き添ったライゼとリーン。創造神であるアストライアから意味深な発言を受ける。そして後日、戸惑う二人にティサラから護衛としての同行を求められる。

外の世界を見てみたいライゼの心は大きく揺らぎ、そして村長からこの村の最後の真実を告げられる。この村の住民は記憶が無いだけでなく不老であること。かつて世界を旅し、そこには自分達の居場所が無いことに。しかし、ライゼは唯一の”例外”であり、記憶が無くとも年を取るのであればこの村に居続ける必要はない。

実はリーンも同様に、いつかは村を出ようとしていたことが明かされる。
二人の答えはもう決まっていた。ライゼは自身の好奇心と、創造神の言葉を信じて。
リーンは目を覚ました時に持っていた手紙が示す、運命の人を探すため。

かくして、ライゼとリーンの旅は始まった。記憶を取り戻した先に待っている希望を信じて。沢山の困難が待ち構えているとも知らずに。

ゲームシステム

戦闘形式

  • 今ではもう珍しい部類のランダムエンカウント方式。
    • 早々にエンカウント調整アイテムが手に入るので、その点で苦労することはないはず。
  • 戦闘はオーソドックスなフロントビュー。いわゆるドラクエ式。
    • 戦闘に参加できるキャラクターは4名まで。メンバーの途中交代不可。

ボーナスゲージ

  • 画面右、縦長のゲージはボーナスゲージとなっており、攻撃をするごとにゲージが増加。
    • 最大値に達すると、攻撃力 or 防御力2倍、ドロップ率2倍等。様々な恩恵を得られる。
      • これはボス戦であろうとも有効。

奥義ゲージ

  • キャラごとに配置している菱形のゲージは奥義ゲージ。
    • 最大値になると各キャラクター固有の奥義を放てる。
      • 文字通り状況を一変させる威力を持っているので、困ったら奥義ゲージを貯めて連発が吉。

スキットシステム

  • 触れると会話が始まり、仲間達との他愛無い会話や世界観の補足などを楽しむことが可能。
    • 無視しても支障は無いが、折角のストーリー重視のゲームなので積極的に見ていくことをお勧めする。
      • 思わぬ伏線に繋がっている会話も多々ある。

評価したい点

ストーリー

  • ロストヘヴンはストーリー無しには語れない作品。
    • 作者様も「このゲームは物語こそが最大の売りである」と断言しているほど。
  • 開幕から二人も記憶喪失者がおり、この「二人」というのがポイント。
    • 記憶喪失というのはRPGにおけるストーリーを盛り上げる要素の一つだが、二人も居るというのは珍しい。
    • 主にライゼのことを知る人物との折衝を中心にストーリーが展開するが、リーンのことを知る人物も当然出てくる。
      • ゲーム序盤では何も知らない無知な二人に対し自身を知る多くのキャラクターと接触しストーリーが進行。
        • じつに多くの伏線がばら撒かれていく。
  • ゲーム中盤以降は序盤でばら撒かれていた伏線が少しずつ昇華されていくのだが、この伏線の撒きかたが見事。
    • 重要そうだが後にならないと判明しないものは勿論、一見ただの雑談のようなイベントでも伏線たりえる。
      • 一見関係なさそうなスキットシステムも実は様々な伏線が貼られている。
  • 例えば、主人公のライゼがストーリー進行上で色々とお世話になった三人にプレゼントをあげる場面。
    • 一見するとライゼの優しさが身に染みるほのぼのイベントだが、これはもう一つ重要な意味を持つ。
      • このイベントをキッカケとして、ライゼに同行していた三人は重要な真実に気付いてしまう。
        • このようにイベント一つに複数の意味を持たせて工夫を凝らしていることが良く分かる。
  • ロストヘヴンは作者様が学生の頃にアイデアが浮かび、そこから長い人生を共にしてきた物語でもあるそう。
    • 本作の物語はふと思いついて作ったインスタントな物語ではないことが良く分かる。
      • 大事に、大事に温めておいた物語であるからこそ、素晴らしい物語に昇華されたと考えて良いだろう。

キャラクター

  • 序盤はどうにも頼りなさげだったり、あまり良くない印象を持つキャラクターも居る。
    • それが、数々のイベントを得て立派なキャラクターへと成長していく過程はまさに長編RPGならではの魅力。
    • ストーリーとキャラが歯車のようにガッチリ嚙み合っていると感じた。
      • 序盤は少々退屈さを感じるかもしれないが、個人的に「本当の自己紹介」が起きてからがこのゲームの本番。

快適なゲーム性

  • 本作ではストーリーがスムーズに進められるよう、様々な配慮がなされている作品。
    • 難易度はかなり易しく、RPGの基本的知識があれば問題なくクリアできるはず。
      • 無論レベル上げも不要で、私はエンカウント半減アイテムを常に装備してプレイしたが、それでも一度もゲームオーバーにならなかった。
      • この低難易度調整については作者様も自認しており、以下のような思惑があったそうだ。
        • 戦闘よりもストーリーに集中して欲しかったこと。
        • 本作の開発中、遊んでくれる人達が普段あまりゲームをたしなまない人が多かったこと。
        • 作者様がいわゆる「俺つええ状態」が好きであること。
      • 攻略を助ける要素も多分に用意されている。
        • どこでもセーブ、ボス前全回復、潤沢な回復アイテム、エンカウント調整アイテムの早期販売。
        • 防御でMP回復、戦闘終了後にMP回復の仕様もある。
          • ダンジョン探索時のリソース枯渇といったことは無いだろう。

音楽

  • フリーゲームにも関らず数多くの楽曲を採用している。
    • 例えば戦闘BGMは10数種類にも及ぶ。
      • 戦闘曲「Encounter」は定番ながら癖の無く聴きやすいザコ戦闘BGMの1つだと思う。
        • 色々なところで耳にするがこれはツクールデフォルトで存在するBGMなのだろうか?
          • 最近のツクールゲームのデフォルト素材は本当に進化していると感じる。
      • こちらもフリーゲームでの定番曲になりつつあるが特に「Battle-With-Darklord」が印象に残る。
        • 本当の自己紹介が起きてからのまさかの展開で熱い戦闘曲。
          • この前後でストーリーに大きな変化が発生し、これからが本番だと思わせる重要なターニングポイントだった。
      • 要所で流れるボス戦BGM「winna_kaikou」も素晴らしい。
        • 恐らく作中で最も印象に残るであろう場面で流れる曲であり大変印象に残っている。
          • 他にも沢山の戦闘曲があるのだが、少々残念な点も…。
    • イベントシーンにおいても場を盛り上げる曲だったりシリアスさ、哀愁を漂わせる曲が盛沢山。
      • 本作は徐々にシリアスなストーリーに転じるため、そういった曲が多く採用されている。
        • 特に気に入ったのは「弦楽器哀愁シーン」「オレンジに染まる空へ」「Dimensional_Phantasm」あたり。
    • ダンジョン探索で好きな曲を上げるとすれば「Es-Boss1_loop(塔)」だろうか。
      • どことなくスターオーシャンっぽい曲調で探索を楽しませてくれる。
        • 何となく本作はスターオーシャンとテイルズを足して二で割ったような雰囲気を感じるのは私だけだろうか?
        • なんと本作ではエンディングテーマ曲も存在する。
          • フリーゲームで専用のテーマ曲まで用意されているゲームはほとんど例が無い。

気になった点

難易度

  • 一概に問題点とはいえないが、人によっては問題と捉えられてしまう。
    • やれることが少ないゲーム序盤はまだしも、中盤以降で戦力が整ってくると、苦戦する要素は殆ど無い。
  • 良くある難易度選択も無い
    • 自ら縛りプレイをしない限りは低難易度と付き合い続けなければいけない。
  • ゲーム中盤以降はシナリオ的に盛り上がる場面が大変多いだけに、敵が弱すぎて盛り下がる印象を覚える。
    • 特に顕著だったのは最終版で、あるイベントを機にパーティが強化され過ぎてラスボスすら瞬殺出来てしまう。
      • その為、せっかく良曲揃いの戦闘BGMが残念ながら印象に残りにくい。
        • ストーリーに集中して欲しいという作者様の想いは理解できるが、難易度選択はあっても良かったのでは。

自由度の無さ

  • 本作はストーリー重視の作品。自由度はなく完全な一本道でまず迷わない。
    • 寄り道クエストや、やり込み要素もほとんどない。
    • フィールドマップも非常に簡素化。少々、冒険心を削がれる要素があることも事実。
    • ストーリーを重視するが故の問題点とも言える。
  • ストーリーの進行もやや丁寧過ぎるきらいがある。
    • 次はここに行け、この船ではなくあの船に乗るんだぞ、といった具合の案内がどうも親切過ぎるようにも感じる。
    • これは作品の売りであるストーリーを楽しんでもらいたいがための措置でもあるが…。
  • 作者様もサブクエスト機能を実装するかは色々と悩んだ結果として削除することにしたそう。
    • 本作の売りはキャラとシナリオであり、自由度の高いサブクエストを導入して果たして楽しめるのだろうか、と。
      • 実際のところ私も続きが気になりストーリーを追うことに夢中だった。
        • 変に意味の薄いお使いクエストが入るよりは実装しないことが正解と言えたかもしれない。

とあるキャラの扱い

  • 個人的な意見かもしれないが、一部キャラに少し違和感を感じた。
ネタバレ注意
  • ルヴィスの存在感
    • ストーリー重視の作品ではそのキャラが物語を展開する上で必須の存在であることが条件だと思う。
      しかしルヴィスは他のキャラと比べ、ストーリーに必須とは言い難い。

      • 他のメインキャラは何かしら繋がりや因縁があるが、ルヴィスに関してはそれがない。
        • 特にルヴィスが活躍する機会も用意されていないのもそれに拍車をかけていたように感じた。
  • ロゼッタの扱い
    • 翠玉の連中の中で存在感を出しており、キャラの個性としては全く問題無い。
      • しかしこのキャラは最後まで明確な動機が見えてこなかった。
        • そのあたりをもう少し掘り下げて描いても良かったのかもしれない。
  • レイジの扱い
    • 少々可哀そうな噛ませキャラという残念なポジションになってしまった。
      • これはこれで四天王の中で最弱ネタという意味でもキャラが立っていて良かったのかもしれないが。。
        • 何故翠玉の一員として選ばれたのだろう?そのあたりをもう少し掘り下げて良かったかもしれない。

総評

ロストヘヴンは魅力的なキャラクター、奥深いストーリー。良質なBGM。
ストレスフリーなゲーム性で、難易度が易しいのでサクサクとプレイ可能。
ストーリーを楽しみたい人はプレイしておいて損はないはず。
多少気になる点はあるものの致命的とは言えないし、人によってはプラスに捉えられるはず。
他の商業ゲームをしのぐストーリーを是非とも体感して欲しい。

ゲームプレイ

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