ライラといびつな信仰寓話

〇笑いあり涙ありバイオレンスありのバランスの取れた脚本
プレイヤーを飽きさせない目まぐるしく変わるストーリー展開
〇敵、味方キャラクター共に表情豊かで個性的
〇ボイスエディション公開予定(2023/10/26現在)

目次

概要

「脂肪ノ文庫」様製作のフリーゲームRPG。
本作はストーリー、キャラクター、脚本、音楽、システムいずれも高水準とバランスが取れた作品。特にキャラクターにおいては主人公サイド、敵サイド、脇役いずれも特徴的。プレイ時間もフリーゲームとしてはかなり長い50時間(クリアだけでも30時間程度)。

バイオレンスな描写が多い点には注意(推奨年齢15歳以上)

ストーリー

今から数年前、突然不思議な光に包まれ、時空が歪み、次元の門が出現した。
そこから私達を侵略するように化け物が出現した。

人々は彼らを「悪魔」と呼んだ。

それでもどこか他人事のように考えていた主人公のライラ。
いつものように魔物退治に出かけ、用事が済んだら妹のアリアに誕生日を祝ってもらうはずだった。用事を済ませて戻った一行が目にしたのは、何もかも変わってしまった凄惨な村の様子。最愛の妹にもその被害は及んでいた。

悪魔に挑むもその力に全く歯が立たず窮地に追い込まれるライラ。
渾身の一撃を食らわせ、悪魔に一矢報いることに成功。
しかしその一撃が仇となり悪魔は激昂。ライラにとって最も残忍な方法で妹は殺されてしまった。

自身も瀕死の重傷を負ってしまったライラだが、間一髪のところでセイントハイム教団に救助される。生き残ったライラを手厚く保護しようとする教団に対し、彼女は激しく反発。憎悪を胸に復讐を決意する。

ライラの覚悟を見届けた支部長は方針を転換。
恩人のアエトロと共に復讐の旅に出ることを許可する。

こうしてライラの辛く、悲しい復讐の旅が始まった。
復讐の旅の果てに待っているものは、果たして…。

ゲームシステム

戦闘方式

  • エンカウント方式はランダムとシンボルのハイブリッド。
    • この点は珍しいので問題点の項で後述。
  • 戦闘はツクールデフォルトのサイドビューバトル。
    • 同時戦闘参加キャラは最大4人まで。ターン経過時に控えキャラとの入れ替え可能。

奥義システム

  • HP、MP以外の要素として奥義ゲージの存在。
    • 戦闘中に少しずつ溜まっていくことでキャラ固有の奥義が使用可能。
      • 2回行動が可能になる。蘇生込みの全体回復が出来るなど起死回生のチャンスに。

食事システム

  • ステータスアップに加え、反撃率アップなど特殊なものもあるため、戦況によって切り替え可能。
    • 効果は永続のため、食べ直したりする必要はない。
      • 問題点とまでは言わないまでも、やや空気気味なシステム。

好感度システム

  • ありがちなシステムだが本作のポイントの一つ。
    • ゲームが進行すると、仲間キャラに話しかけることで好感度イベントが発生。
      • 本編では語られない会話が発生するのは勿論だが、それで得られる永続パッシブが大変便利。
        • 特に理由が無ければ片っ端から好感度イベントをこなしておくと良い。
      • 最大の特徴としてこの好感度イベントは主人公に限らず全キャラで発生する。
        • 詳しくは評価点の項で後述。

評価したい点

脚本

  • 『ストーリー』ではなく『脚本』というのがポイント。
    • 比較的長編でありながらも全く中だるみを感じず、笑いあり涙ありバイオレンス描写あり。
      • 緩急のあるストーリーテリングに仕上げたことは評価できる。
      • 本作はこの三角形が非常にバランスよく成り立っている。
        • このバランス感覚が本作が唯一性を持つ理由。
        • あらすじは暗い話ばかりだが、サブイベントの内容はかなり和やか。
      • 各章ごとの開始時には専用のカットインが存在。
        • 盛り上がり所も随所に用意されており、プレイヤーを飽きさせない工夫が感じられる。
          • 作者様によると長編RPG特有の中だるみが発生してしまわないよう工夫したとのこと。
            • まさしくその通りだと強く同意出来る。
      • キャラクターや物語全体を通して幾つものテーマを掲げているのも特徴。
        • ややネタバレに繋がるので詳しくは伏せる。
          • クリア後のスタッフルームで閲覧することが可能。
          • 物語を通し表現したいことが明確になっていたから魅力ある脚本に仕上がったのでは。

キャラクター

  • 好感度イベント
    • 一般的に好感度と聞くと、主人公と他キャラクターとの好感度を指すものと思い浮かびがち。
      • 本作はそうではなく、主人公だけでなく他のキャラクター同士の好感度まで設定されている。
        • これにより各キャラまんべんなくサブイベントが発生。主人公以外も魅力を感じられる工夫を凝らしている。
        • 勿論、仲間になるキャラはまだ存在するうえ、イベントは一回では終わらず何度か発生するため、イベント数は何と50を超える
  • キャラの感情
    • 絶対に妥協したくなかったそう(作者様のあとがき)
      • 作画を担当した山浦大福氏には沢山の感情を作って頂いたそうで、感謝を述べている。
      • もちろん多種多様に用意された感情を使いこなすには相応の脚本が必要。
        • 前述した評価点もあり、上手く表現されている。
  • ボイスエディション公開予定
    • ボイスがあると更に物語が光る作品に仕上があるはず。
      • エンディングテーマも追加される模様。
      • 興味があるかたは公開まで待ってからプレイしてみても良いかも。

気になった点

バイオレンス要素が結構多い。

  • 賛否両論点と言えるが、だからこそ物語が面白くなるともいえる。
    • しかし人によっては避けた方が良いのは確か。
    • ちなみに公式では、15歳以上のプレイを推奨している。

BGMの取り扱いかた全般

  • タイトルBGM
    • 作中で頻繁に再生される。
      • 個人的にはタイトルBGMは物語内であまり迂闊に使用してほしくはない。
        • あくまでここぞという要所で流すべきもの。
          • 特定の場面ではなく作品全体を表すテーマ曲として存在するべきだと思う。
  • BGMの忙しなさ
    • 一つのイベントシーンにおいて、会話ごとに頻繁にBGMを切り替えて忙しなさを感じた。
      • 音楽が気になってイベントシーンに集中出来ない。
      • 加えてフェードインフェードアウトも演出も無い。
  • 一部BGMチョイス
    • シリアスなシーンにボス戦で使われるBGMを流して雰囲気が崩れてしまう。
      • ここぞという場面での演出・選曲は素晴らしい。
        • それだけに少々勿体ないと感じてしまった。

エンカウント方式

  • 本作はシンボルエンカウントとランダムエンカウント方式のハイブリッド。
    • 要するに、歩いていても戦闘に突入するし、戦闘シンボルに触れても戦闘に突入する。
      • 率直に言うとストレスを感じてしまった。
      • レベル1雑魚は本当にザコで作業感が強い。
        • 本作は難易度が低めなため尚更。
      • 一応ランダムエンカウントの遭遇率は低めだが、それでも乱数によって変化して高く感じることも。
      • マップにもよるが敵シンボルの数もそこそこ多め。シンボルに統一して良かったのでは。

マップの構成

  • 特にダンジョンのマップがやや雑に感じられた。
    • この感覚には個人差はあると思うので参考程度にして欲しい。

バランスブレイカー気味のスキル

  • 特定の技がややバランスを崩している感が否めない。
ネタバレ注意(クリックで開く)
  • (ライラ)連撃アイシクルスピア、(ナナ)アイシクルランス
    • 直ぐに使うことができ、低コストで奥義ゲージも使わず放てる。
    • 氷属性ダメージがランダムな3~4体に5~7ヒットする。
      • 敵単体に放つと1体に対し実に20ヒットを超える。
      • 1ヒット当たりのダメージも高く半減されたとしても結構強い。
      • 無効や吸収以外の敵が居ればとりあえずこれを使えば勝てる。

メタ要素

  • 本作にはところどころ、メタ要素が表現されることがある。
    • 「RPGツクールの文字数上限を考えろ」とか 「マップチップの都合」など雰囲気を崩す発言が幾つか。
      • これはストーリー本筋とは関係ない好感度イベントでしか発生しない。
        • 何れにしろ、こういった要素が苦手な人にとってはマイナスに感じるだろう。
      • メタ要素…とまではいかないが笑いを取ろうとして少し設定に矛盾を感じた面も。
        • 主人公のライラが中二病属性のため、パソコンを使って中二病小説を作るという好感度イベントがある。
          • 他のキャラはまだしもライラは貧しい農村出身でパソコンのパの文字も知らないはず。
            • この旅を初めて小説を書ける程にパソコンを使いこなしているということに少々違和感を感じた。
              • 好きこそものの上手慣れと言うところだろうか。

キャラ並び替えのUI

  • 戦闘中にキャラを入れ替えることが出来るのだが、とある理由で使いづらい。
ネタバレ注意(クリックで開く)
  • ゲーム後半は非常に多くキャラが加入するうえ、右側にズラリと並ぶためキャラが選びづらい。
    • たくさん仲間が増えたのにあまり積極的に入れ替えたいと思わなかった。
    • 実はこのUIはマウスでプレイする人にとってはそれほど苦労しない。
      • コントローラ派専用の問題点と言える。

最終ストーリー展開(やや辛口)

ネタバレ注意(クリックで開く)
  • 最終版、1人でラスボスと戦おうとするライラのもとに仲間が大量に駆けつけるという心温まるイベントがある。
  • しかしこの仲間メンバーの絆が少し微妙にも感じた。
    • ガスパーベル4人衆の初回登場時の印象が悪すぎた。
      • ナナに支配されていたとはいえ全員を収監し洗脳を企て、使い物にならないライラは焼却場に棄てる行為。
      • 驚きや絶望感を与えたかったのもあるだろうが、少々やり過ぎなイベントだったように思える。
        • 一応、少し前に上納金が足りないだけで殺されてしまうモブのイベントがある。
          • ガスパーベルの異常さを伝え、彼らも必死だったという解釈は理解できなくもない。
      • そんな彼らがさっそうと登場し縁や絆を説くのがどうも違和感がある…。
        • ちなみにその縁や絆について言及したのは4人衆の1人のサラである。
      • ガスパーベル解放後はライラ達に協力したり、悪魔を殺すすべを開発したりと一応贖罪はしている。
        • 人によっては十分なのだろうが、好感度イベント等で謝罪するようなイベントが欲しかった。
          • ちなみに攻略後の裏ダンジョンではこの話が蒸し返され、改めて謝罪している。
            • これを本編でして欲しかった…。
      • そもそも最終版になって急に仲間キャラが増えてしまい扱いに困ってしまった。
        • 好感度イベントによる永続パッシブの強さや前述したキャラ並べ替え要素の問題も大きかった。
          • 結局、上に述べた4人や他の追加キャラを使うことはほとんど無かった(ナナ除く)

総評

優れた脚本や魅力的なキャラクターでストーリーを多いに盛り上げてくれる長編RPG。
特に好感度イベントは他に類を見ないボリューム。イベントスチルも多分に用意されており、キャラクターへの愛着もひとしおのはず。戦闘システムはややシンプルなものの、他の要素が魅力的であるためそれほど問題とは思えない。ところどころに問題点を並べてはいるが、特に致命的なものは無いはず。バイオレンス描写に抵抗が無ければ、是非プレイしてみて欲しい作品。

ゲームプレイ

Freem!

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