『シルフェイド見聞録』ハイテンポなギャグが光るフリーゲームの名作ADV【第18回】Masterpiece ADV of free games with high-tempo gags.
目次
概要
ストーリー
ゲームシステム
アドベンチャーパート
- 本作はコマンド選択式のアドベンチャーゲーム。
- 多少なりともゲームを遊んでいる人であれば直感的に操作できる。
- 右側に表示されたメニューから任意のコマンドを選択するだけ。
- ありがちな細かいフラグ管理も無いので迷うことなく進められる。
- ゲーム中盤ではシナリオ上の都合により、戦闘パートが導入されている。
- 比較的シンプルであるため、本編の雰囲気を崩さないデキとなっている。
戦闘パート
- 戦闘は常に一対一だが、ごく一部で例外アリ。
- 名前の下にある青いバーが溜まった順に行動開始。
- FFシリーズ等でおなじみのATB戦闘システムと思えば良い。
- 自身のターンが訪れると攻撃系のコマンドを選択しダメージを与える。
- 反対に敵のターンが訪れると防御 or 回避を行うといった具合。
- 行動で選択出来るコマンドは最大5個までとやや少なめ。
- FFシリーズ等でおなじみのATB戦闘システムと思えば良い。
- プレーヤーはWILLというポイントを消費して戦う。
- WILLはターン経過毎に一定量溜まっていき、多ければ多いほど有利。
- WILLの消費量に応じてダメージや命中、回避等が変化する仕組み。
- 戦況に応じてどの程度WILLを消費するかの塩梅が重要になってくる。
- 上手くWILLを使っていない場合、攻撃の際にWILLを消費し過ぎて防御にWILLを回せず大ダメージを受けてしまう、といったケースがあり得る。
- 敵側もWILLを消費して戦う仕組みは共有しているため、敵側のWILLの使用状況を見極めて戦うことも重要になってくる。
- ゲームが進行するとエシュターはトーテムという能力に目覚める。
- HPが自動回復する、敵のステータスが見えるといった恩恵を受ける。
- 難易度はかなり易しめに作られており、本編の雰囲気を崩していない。
- 戦闘に敗北してもストーリーが継続する場合もある。
- RPGが苦手な人でも安心して楽しめるはず。
評価したい点
コミカルでハイテンポなギャグ
- 何といってもコミカルでテンポの良いギャグが素晴らしいの一言。
- ハイテンポで押し寄せるギャグには腹筋が鍛えられ、おいそれと休む暇を与えない。
- 本作に集う個性的な人々もその要素をアシスト。
- テストの精霊、テレパシーが使える電波姉妹、きゅうりが刺さった人、終いには何も悪いことをしてないエシュターに目を付け嫌がらせを企む教頭とバリエーション豊か。
- エシュター本人は常識人で真面目なだけに、振り回される様相が大変に笑いを誘う。
- 脚本やキャラクターの構成が良いのはもちろん、グラフィックが豊富に用意されていることも重要。
- ちょっとしたモブキャラも含め、多くの登場人物に顔グラが用意されている。
- ギャグの中心に居るエシュターの差分は特に多く、総勢で5種類もの差分が存在。
- 視覚的な要素も充実させていることが、本作のギャグ性を高めていると言える。
- ちょっとしたモブキャラも含め、多くの登場人物に顔グラが用意されている。
ストレスフリーなシステム面
- システム面にも目を向けてみると、当時では珍しいRPGツクール製のADVゲームなうえ、操作性が極めて高いのも見逃せないポイント。
- 少しゲームを遊んだことのある人であれば細かい説明は無くとも直感で操作できるうえ、レスポンスも非常に良くゲームのテンポを損なわない。
- ゲーム中盤では戦闘パートもあるが、意外にもこのシステムも非常に良く出来ている。
- 見た目は1体1のシンプルな戦闘でありながらも、戦況に応じてWILLをどれだけ消費するかの駆け引きで戦闘結果がガラッと変わる良いバランスに仕上がっている。
- それでいて本作はあくまでもADVゲーム。
- 誰にでも楽しめる難易度に仕上げた塩梅も評価できるポイントと言える。
ランタイムパッケージ不要
- 最後に紹介するのは、当時ならではの評価点。
- 本作はRPGツクール2000で製作されており、このツールで作成されたゲームを遊ぶには基本的にはRPGツクールランタイムパッケージのインストール必要になる。1
- 本作が公開されたのはインターネット黎明期の2001年と古いうえ回線が遅く、HDDの容量も限られていたことによる当時の苦肉の策だった。
- しかし同時にこの仕組みを理解するための情報が少なかったことも災いし、ゲームが起動できずに遊ぶのを止めた人も恐らくは一定数居たであろう。
- しかし本作にはそのランタイムパッケージが不要!
- 当時では珍しく本作単体で遊ぶことが出来たことは、確かな評価点であると言える。
気になった点
ウケるかどうかはあなた次第
- まぁそれを言っちゃおしめぇよという気はするが…。
- いずれの要素もそこまで大きくはないので、参考程度に捉えておいて欲しい。
- 本作では頻繁にトイレネタが登場したり、更には吐瀉物をまき散らすヒロインも居る。
- 擁護しておくと、ストーリー進行上の都合もあったりする。
- いわゆる下ネタに忌避感を表す人は居るかもしれない。
- ほかには強いて言えば、時代の流れがゆえの懸念も。
- 昔は許されていたが今では厳しく見られる描写も見受けられる。
未完結作品
- 本作は2006年のストーリー更新を最後に開発を中断。未完の作品となってしまった。
- 作者様の続編についての想いとして、公式サイトにてこのように述べている。
- ただ、本作のギャグセンスやゲームシステムの完成度は今遊んでみても色あせないデキ。
- 未完作品だからといって遊ぶのを控えるのは少々勿体ない気がするので、是非遊んでみて欲しい。
そして時が経ち…
最近行われたフリゲ2023というイベントでは作者様からこのようなコメントを頂いている。
いちファンとして、作者様のこの言葉はとても嬉しいお言葉であった。
原文の元ページはこちら。
総評
本作はフリーゲーム黎明期に公開され、気づけばかなりの年月が経った。
それにも関わらず独自のギャグ路線やシステムの快適さといった要素は当時の多くのフリゲユーザーに衝撃を与え親しまれた。今でこそ未完結作品となってしまったが、いつの日かリマスター版が公開されることを切に願う。
ゲームプレイ
公式サイト
脚注
- RPGツクール2000の素材が一通り入っており、ゲーム本体とこのRTPが連携して動作する仕組み。これによりゲーム本体の容量が軽くなる利点があった。 ↩︎
コメント