ヨミガエリの魔槍士

〇オリジナリティを感じられるゲームシステム
〇良く動くアニメーションとド派手な戦闘
〇過去作品とのキャラクター・世界観の繋がり
〇ゲームシステムを楽しみたい方へオススメ

概要

2022年に公開された 柴犬 氏製作のゲームシステム重視のRPG。
ブレイク&ドライブシステムを使った戦闘システムは戦略性があり緊張感あるバトルを楽しめる。
同制作者の別作品の過去キャラが活躍するためそういった作品を遊んでいるとなお良し。

ストーリー

【使途】
他を圧倒する力を持ち、ある者は神、ある者は魔王と呼び、何を目的とするかは謎に包まれている。
唯一分かっていること。それは使途はあらゆる生物の敵対者であるということ。
今やその被害は世界中に広がっている。そんな中、使途に立ち向かう者達がいた。
その組織はユニオン、配下のメンバーはエージェント呼ばれた。

主人公のジークハルトはエージェントとして上司ライルの指示で滅びた町の調査を行う。
しかし調査中に何者かに襲撃され、間一髪のところでA級エージェントのユウに助けられる。


わけあって個人が持つ特殊な能力『ギフト』を使えないジークハルト。
しかしそんな彼に可能性を見出したユウは彼を自分の監督下にいれ、共に使途討伐に赴くことに。
かくしてジークハルトと使途との戦いは始まった。

ゲームシステム

ブレイクシステム

  • ボス級の的にはブレイクゲージが設定されている。
    • ゲージを削りきるとブレイク状態になり、相手のステータスが大幅低下し1ターン無防備に。
      • 敵の行動より先にブレイクすることで行動をキャンセルすることが出来る。
      • ブレイクゲージの減り具合は与えるダメージ量に依存する。
        • すなわち、こちらの攻撃が高威力であればあるほど簡単にブレイク出来る。
    • これに加えて、後述するドライブシステムを使って追い打ちをかけるのが基本戦略となる。

ドライブシステム

  • ドライブゲージ(最大100%)を消費することでそのターンの間、一時的に能力が向上。
    • ターンを消費せず即時発動できるというのも大きな特徴。
    • 25%消費か50%消費か選択でき、後者の方がより恩恵が得られる。
      • 例えば、秘儀(ゲーム中盤で習得)を使用可能になる。
      • このゲージをどう使い分けていくかが非常に重要。

スキルツリー

  • RPGでは定番。
    • 主にレベルアップ毎にポイントが与えられ、自由に割り振りを行う。
    • 何のデメリットも無くスキルリセットが可能。

ネームドモンスター

  • 賞金首といった方が分かりやすいか。
    • 適正レベルより結構高く設定されているので、プレイヤーの地力が試される。
    • 別に倒さなくてもストーリーは進行する。

電子メダル

  • 各地に散らばった電子メダルを回収することで枚数に応じて報酬を得られる。
    • 宝箱のように分かりやすく表示されないので結構取りこぼしやすい。
      • ゲーム中盤でヒントをくれる占いばあさん的なキャラが居るのが救い。
  • いわゆる『ちいさなメダル』。
    • 体感的には、そこまで得られるアイテムの重要度は高くない。
      • もちろんあるに越したことは無い。
  •  

評価したい点

特徴あるゲームシステム

  • 何といってもこの『ブレイク&ドライブシステム』が面白い。
    • 電子メダルやスキルツリーなど色々あるが、本作の目玉はやはりこれ。 
    • ボス級の的でも一度ブレイクさせてしまえば行動不能からのドライブコンボで一気に削れる。
      • この一連の試みが成功した時の爽快感は中々のものである。
      • ブレイク時の能力低下とドライブの補正向上もあり、全てが合わさるとかなりの威力。
        • ゲーム中盤で割と簡単にカンストダメージに到達する(制限突破は可能)
    • ブレイクゲージの減り具合がダメージ依存であることも大きい。
      • 上手く弱点を突くなどすれば簡単にブレイクさせ、一方的にダメージを与え続けることが可能。
        • ずっと俺のターン状態。
        • ゲーム中盤以降ではブレイク復帰時に特定のスキルを自動発動する敵も居る。
          • 一方的なブレイク攻めを緩和するためだが、そこまで脅威ではない。
    • ゲージ管理は大変だが、その分やりごたえがある。
      • HP/MPに加えブレイクゲージやTPも管理し、25% or 50%消費するタイミングを見極めるのは少し大変。
        • 人によっては面倒だろうが、ゲーム性が好きな人にはお勧め出来る。
      • 色々な使い方があり、例えば…。
        • 敵の大技の待機状態を狙い、全力ドライブからブレイクを狙い大技を阻止する。
        • ピンチになってもあえてブレイクを狙い、攻撃を優先する。
          • ブレイク成功後の無防備ターンに落ち着いて回復を行う。

良く動くアニメーション

  • このゲームシステムをより爽快感あるものにしている理由がコレである。 
    • どの攻撃やスキルにも独自のアニメーションがあり、本当に良く動く。
      • 更にブレイクが発生すると効果音も相まって中々に気持ち良い。
    •  中でも秘技はとにかく派手なので一見の価値あり。
      • 個人的にはアルトリアがお気に入り。

スキルバランス

  • 少し気になるものこそあれど、全体的にスキルのバランスが取れているように思えた。
    • 死にスキルのようでいて、ピンポイントで活躍できるスキルもある。
      • 後半では死にスキル気味の状態異常系スキルも活躍できるのは好印象。
    • スキルリセットをノーコストで行えるので気軽に割り振り出来る。
      • もっとも、気になる点もあるにはあるので問題点の項で記述する。

マップ

  • 全体的に殺風景なマップが少なく、しっかりと作られている印象。
    • ところどころ意味不明なマップチップが置いてあるように見受けられるがそれはご愛敬。
      • 使途の世界になぜキャンピングカーが…。
    • 本作は多彩なダンジョンが登場するがそれに負けないマップ構成だったと思う。

気になった点

不安定な世界観

  • 今一つ世界観がはっきりせず、グラグラしていると感じる。
    • 初期アイテム欄に『スマートフォン』があり、これで連絡を取り合っている。
      • この舞台は現代ではないし、スマートフォンについて何かしらの言及もない。
      • ちなみにマップチップに冷蔵庫もあり、ファンタジーの世界?としては違和感がある。
    • 賞金首や使途、魔法とファンタジーライクな世界観を描きつつも、現代要素と世界観が混ざってしまうのは違和感がある。
      • このあたりの違和感を払しょくさせる説明があれば良かったが、それは無かったと記憶している。
      • ゲーム後半では勇者と呼ばれる人物も登場する。

キャラクター

  • 全体的に薄味だと感じてしまった。
  • 主人公のジークはクソ真面目という設定が災いし、特徴の無い主人構が出来上がってしまった。
    • ちなみにこれは作者様ものちに反省点として語っている。
  • メインキャラのユウ、アルトリア、メグの3人は全て過去作からの友情出演である。
    • そのため、過去作を遊んでないプレイヤーは置いてけぼりというか、愛着がわきづらい。
      • これも作者様の好みで、過去作のキャラを登場させるのが好きであるが故である。
        • いわく「キャラが良く分からないならゴメン」とのこと。
    • 一応、キャラ加入時やイベントでそのキャラの過去の生い立ちなど説明されるが、描写不足が否めない。
      • 個人的には、過去作キャラの友情出演はあくまでサブキャラ程度で良かったのではないか?
    • かといってオリキャラのパメラも物語との必然性が無くキャラが薄い。
      • この点についても作者様も思うところがあった模様。

ストーリー

  • 全体的に薄味だと感じてしまった。
  • 使途やその眷属の存在描写が今一つで、脅威や凄みを感じられない。
    • 彼らが人間たちに直接危害を加えるような描写が無いことが原因と思われる。
  • メインキャラとストーリーとの必然性が薄いのもイマイチと感じる理由の1つ。
  • 登場するダンジョンは結構多いが、その一つ一つにあまり意味を感じられない。
    • イベントはそこまで多くなく、次のダンジョン、次のダンジョンとルーティーンのように攻略していく感じ。

分かり辛いUI

  • 細かいところでどうしても気になってしまう。
  • 本作は戦闘キャラがコントローラのボタンのように配置されている。
    • 一般的にはヴァルキリープロファイルのようにキャラとボタンが対応する配置に見える。
      • しかし本作は一般のRPGと同様にキャラの行動準に合わせて選択する。
        • (1)ジーク、(2)アルトリア、(3)パメラ、(4)メグの順に行動すると…。
          • □(←)、〇(→)、×(↓)、△(↑)となり、キャラの行動順がいまいち分かり辛い…。

  • ステータス異常等のバフ、デバフ表示
    • 敵に複数状態異常が付与されると、敵の頭上に時計回りのアイコンが回転する。
      • この時計回りのスピードが結構速い。
        • 文字通り頭が回る。
        • 敵のサイズが大きすぎると画面外にはみ出てしまい、確認が出来ないケースも多少あった。
      • 本作を始め、RPGではバフやデバフがどのように付与されるか確認するのは重要。
        • それだけに、この仕様にはストレスが溜まってしまった。
      • スキル選択時、画面上部にスキル説明欄が現れるため確認のし辛さに拍車がかかる。
        • 半透明とはいえ、前述した時計回りの効果で見辛い。
    • 味方にバフやデバフが大量にかかるとHP/MPの枠に浸食し、見えなくなってしまうことも。
      • こんなに沢山のバフデバフがかかるのはレアケースだが…。

メグのスキル

  • 作者様いわく愛着を持っているキャラのようで、スキルも他のキャラより力を入れたとのこと。
  • 虚栄心。
    • ちょっと強すぎるような気がする…。
      • ドライブで先制発動。
      • 武器属性が反映される仕様により実質全属性持ち。
      • ブレイクゲージ減少率2倍。
      • 必中大ダメージ。
    • 本作はブレイクの恩恵がとても強い(1ターン無防備×行動キャンセル×全能力低下)ため尚更である。
      • これには作者様も思うところがあったようで、ブレイクの仕様変更を検討中とのこと(2024/03/04現在)
        • 1ターン無防備の仕様を無くす。
        • ダメージに比例したブレイクではなく、攻撃回数に応じてブレイクする。
        • 上記仕様に変更されると、虚栄心のようなスキルの強さも多少落ち着くはず。
          • 逆に攻撃回数の多いスキルが日の目を浴びることになるはず。
          • これはかなり思い切った仕様変更。
  • トレジャーハンター。
    • スキルリセットと組み合わせれば簡単にレアアイテム収集と戦闘を組み分けられる。
      • 後述するエンカウントの仕様も相まって、レアアイテム収集が非常に楽に。

ザコ戦のバランス

  • 本作は戦闘に重きを置いていると思うが、ザコ戦の扱いが少々雑に感じられた。
  • エンカウント
    • シンボルエンカウントなのだが、敵が積極的に近寄ってこないため簡単に回避できる。
      • やろうと思えば 全く敵に触れずにボスまで辿り着くことも可能。
    • 更にアイテム欄のエンカウント無効を使うことで接触しても戦闘にならない。
      • これはノーコストで何度でも使える。
  • 戦闘バランス
    • オート戦闘で十分倒せるうえ、回復ポイントでは全快出来る。
      • つまり、エンカウントを無効にすればノーリスクでアイテムを回収しながらダンジョンを踏破出来る。
        • あとは回復ポイントでオート戦闘をして気のすむまでレベル上げをすれば良い。
      • これらの調整は別に悪いわけでは無く、シナリオ重視のRPGでは有効に思う。
        • 本作は戦闘に重きを置いている(と思う)だけに、ザコ戦を楽しむ余地を残しておいてほしかった。

もう一声なハクスラ要素

  • 本作はアイテムにレア度が設定されている。
    • しかしその割には、あまりレアアイテム収集要素が感じられない。
      • 1~2回ダンジョンを回る程度で一通りのレアアイテム回収は完了する。
      • ノーコストでエンカウントを無効に出来る仕様も相まってアイテム回収も簡単。
        • メニュー画面からエンカウントを有効 or 無効に出来る。
      • 前述したメグのスキルを重ねればなおのこと。
    • 確定レアアイテム獲得演出もあるが、このようなバランスのためあまり嬉しくない。
      • その結果、同じ名前のレアアイテムが大量に手に入ってしまう。

総評

ゲームシステムは確かなものを感じる。
ブレイク&ドライブシステムは中々珍しく、他のゲームには無いオリジナリティを出しているように思う。
後半になるにつれブレイクと二種類のドライブの使い分けが良い戦略性を出しているし、マップが結構凝っているのも印象に残った。

その反面、UI、キャラ、ストーリー、バランスと他の要素で気になる点は多かった。
過去作を遊んでいればキャラに愛着がわいてもっと楽しめたのかもしれない。

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