白銀の竜と楽園の少女

〇初心者向けでとっつきやすいシミュレーションRPG
〇デフォルメ調で可愛らしいデザインが目を惹くグラフィック
〇戦闘BGMをはじめとする独特で秀逸な選曲センス

目次

概要

もねこ様製作のSRPG Studio製フリーゲームシミュレーションRPG。SRPG初心者に配慮したゲームシステム/ゲームバランスやデフォルメチックな可愛らしいデザインが特徴的な作品。プレイ時間は10時間程度とフリーゲームにしては長め。ちなみに本作を公開後、2024年に続編にあたる漆黒の竜と亡国の王女が公開された。

ストーリー

——ラクリマの悲劇

今から8年前、突如現れた空を覆う巨大な黒い影。一晩で辺境の街1つが何者かに破壊された。人々は後にこの事件を、そう呼ぶようになった。その悲劇から奇跡的に生き残った少年、アインス。そして、その少年を保護した青年、イシュエル。彼らは今日も危険な仕事に従事し、日銭を稼いでいた。

仕事を終えて帰路に着こうとしたところ、謎の女性二人に声を掛けられる。
聞けば、男達に追われていて助けを求めているとのこと。

改めて話を聞いたところ、彼女たちは軍隊から非合法な仕事を請け負い実行する組織『アンゲルス』に所属していたこと。組織の在りかたに疑問を持ち、脱退したこと。そして組織の研究所内で生活していた少女、レイ。彼女はドラゴンに変身する特殊能力を持っていることが明かされます。

レイによると「カナンで待っている」という誰かの声が頭の中に響いているとのこと。しかしそのカナンが何処にあるかは分かりません。乗りかかった船ということでパーティ一同はカナンへの旅をすることになりました。

ラクリマの悲劇の真実とは?
レイがドラゴンに変身できる理由とは?
声の主の正体とは?

アインス達を待っているものは、果たして・・・?

ゲームシステム

戦闘

基本システム

  • 総じて比較的シンプルな戦闘システムとなっている。
  • 基本的には参加できるキャラクターは4名まで。
    • キャラロストは発生せず、戦闘不能になっても次戦では復活している。
  • 出撃するイベント毎に勝利条件が設定されている(全滅させる/特定のボスを倒す等)
  • 移動コマンドで青色の範囲に移動でき、ターゲットとなる敵が居れば攻撃が可能。
    • 味方のターンで選択したキャラを操作し、移動と行動の順に決定し実行に移す。
  • キャラ毎にアイテムは8つ保持でき、武器防具、アイテム等を装備出来る。
    • キャラ毎に装備されている武具やアイテムなどの射程範囲に対象者が居れば行動が確定する。
  • 攻撃対象との素早さが離れている場合は2回攻撃のチャンスが発生する。
    • これは敵から攻撃を受けた際にも言えるので要注意。
  • キャラ毎に特性があり、使えるスキルや性能が異なる。
    • その最たる例が竜変身であり、後述する。
  • 地形は全て平面であるため高低差による影響は発生しない。
    • 特定マップでのステータス増減は発生するためその点は考慮が必要。
  • ステージに出現する特定キャラを倒すと仲間に引き込むことが出来る(ハード限定)
    • 評価点の項で後述するが、この点もあり本作の攻略はハードを推奨したい。
  • 戦闘中は経験値が手に入らないので、特定キャラを個別に強化することは出来ない。
    • 戦闘後にパーティを強化するための経験値をまとめて入手出来る。

竜変身

  • レイは通常、攻撃手段こそ無いものの、竜変身後は3ターンのみ破壊的な力を宿す。
    • これをいかに使いこなすかが戦闘勝利のカギになる。
    • 竜に変身したレイは(特に序盤は)ほぼ無敵。
      • 後半は少々キツイ。
    • 早々に使ってしまって敵の数を減らすだとか、強敵にけしかけるとか、色々試してみよう。

拠点キャンプメニュー

パーティ強化

  • アイテムの購入で各キャラクターの装備を整えられる。
    • 一人のキャラクターが8つまで装備可能なため、装備の戦略幅は結構広い。
      • 武器、防具、アクセサリー、回復アイテムで構成するのが基本か。
  • 戦闘で得た経験値を割り振りして戦闘参加キャラクターのレベルアップが可能。
    • パーティ経験値は共通のため、例えばアインスだけに極振りするといった強化も可能。

みんなの様子

  • 選択すると仲間同士のちょっとしたサブイベントを閲覧することが可能。
    • ストーリーには直接影響はないが、より本編を楽しむために観ておくと良い。
    • アイテムが入手出来たりすることも。

クラスチェンジ

  • ゲーム中盤に差し掛かると特定のキャラクターはクラスチェンジをすることが可能。
    • 自身の戦略に合わせて変更すると良いだろう。

評価したい点

プロモーションサイトデザイン

  • ゲーム外の評価ポイントだが、プロモーションサイトデザインが非常に良く出来ている。
  • 基本的にフリーゲームにおいては専用のプロモーションサイトはあまりない。
    • そういったご時世にも関わらずこのクォリティは見事で最初は有償作品かと勘違いしたほど。
    • ゲーム外ですが十分評価に値する。

SRPG初心者でも楽しめる工夫

味方側の行動バリエーションの多さ

  • 本作はSRPGが苦手な人向けに様々な工夫が施されており、初心者こそオススメ出来る作品である。
  • まずは味方側の出来ることの多さ。
    • 例えばレイを見てみると、彼女は竜に変身することができ、3ターン無双が可能。
      • それでも十分強いが彼女のもう一つの特性として、隣接したキャラを再行動させることが可能。
        • つまり実質、常時2回行動を付与できるキャラと言える。
      • ストーリー進行上の都合もあるだろうが、このキャラはSRPGに慣れてない人に向けたある種の救済措置ではないかと個人的には思う。
      • 本作のRead meに「困ったらレイを頼れ」とあるように、特に序盤は意図して強力な性能に仕上げたことが見受けられる。
    • 他にも、ノーコストで一瞬で長距離ワープが可能なキャラや、範囲∞の単体・全体回復魔法が使用可能なキャラ、常時二回行動が可能なキャラなど色々と。
  • このように、敵サイドと比較してこちら側のやれることが多いので、細かい戦術などを考えなくても攻略出来ることが多い場面が多いのだ。

簡潔なゲームシステム

  • SRGが苦手な人から見ると、取っつきやすく感じられるはず。
  • 敵味方共に範囲攻撃が無いこと。
    • 一人の行動で倒せる相手は1体のみ。これにより行動予測がかなりシンプルに。
  • 出撃ユニットが4体と少ないため、メインで鍛えるキャラも少ない。
    • 操作キャラクターが少ないことは必然的に戦略の幅も低下する。
  • 戦闘結果に関係無く経験値を取得でき、拠点メニューで自由に割り振り可能。
    • 戦闘中に特定のキャラを何度も行動させて経験値稼ぎをするだとか、戦闘不能になったので経験値が入らないといった事態は起きえない。
  • 地形の影響が殆ど無い。
    • 2Dのため段差の概念が無いので、高さを利用した戦略を考えなくても良い。
  • 敵を攻撃する際に、間に味方キャラが居ても攻撃がヒットする。
  • フリークエストがいつでも実行可能。
    • レベル不足で詰むことは無い。

たくさんのストレスフリー要素

  • 本作は戦闘中のセーブが制限なくいつでも可能。
    • 一ターンどころか、キャラ行動ごとにセーブ可能。
      • そのうえ、セーブスロット数は50個。
    • 運要素が絡んで失敗した行動でも、ロードしてやり直すことを続ければ必ず勝てるはず。
      • 本作はクリティカルが強いゲームなので尚更。
  • 敵サイドの行動時間が非常に短いのも特徴的。
    • AIの思考がシンプルで余計な行動をしない。
    • 敵フェーズでの敵ユニットの動きをただ眺めているだけ、といった時間は殆ど発生しない。
  • 少し話は逸れるが本作を遊ぶなら難易度はハードを推奨。
    • 前述した遊びやすい要素があることを考慮し、他のSRGと比較して易しめと判断出来るため。
    • もう一つの理由として、難易度ハード限定で仲間になるユニットがかなり多いこと。
      • メインシナリオには絡まないので大勢に影響は無いとはいえ、この中でお気に入りのキャラが見つかるかもしれない。

グラフィック全般

  • 本作に登場するキャラクターはデフォルメチックで可愛げのあるキャラばかり。
    • 可愛らしさを前面に出しているので人によっては好みが分かれるかもしれないが、まぁ少なくともオリジナリティを出していることは間違いない。
  • キャラクターだけではなく、背景も良く描き込まれていて工夫を感じられる。
    • 旅をする中で色々なマップがあるが、個人的には戦闘よりも拠点での背景イラストが印象的。

独創的/幻想的な楽曲の数々

  • 本作で使用されるBGMはいずれも雰囲気にマッチした良曲。
  • もっとも素晴らしいと感じたのは、独特な戦闘BGM。
    • 戦闘BGMの中でも珍しいボーカル付きの楽曲で、作中の世界観や雰囲気にマッチしたどこか穏やかな感覚を覚える良曲。
    • こういうのを、ケルト音楽というのだろうか…?
    • なかなか聴きなれないタイプの曲だが、思い切った選曲だと感じた。
  • ボス戦やイベントで流れる楽曲も雰囲気にあっているので、ぜひ実際に遊んで確かめてみて欲しい。

気になった点

戦略性の薄さ

  • 本作は本格的なSRPGを遊びたいって人には向かない(短所として扱うべきか迷ったが…)
    • 本作はSRPGが苦手だったり、抵抗ある人でも楽しんでもらえるよう工夫された作品。
    • 範囲攻撃が無い、運要素が強い、敵の行動がシンプル、出撃ユニットが少ない等多数。
      • 評価したい点で述べた点がそのまま直結してしまうが、これは仕方がない。

物語とキャラの関わり

  • キャラクターとシナリオの関わりの薄さについても少し気になってしまった。
  • 本作のメインシナリオに絡むキャラは全体数から見ると少数。
    • メインシナリオに絡むキャラでもシナリオとの必然性という点では薄い面があるように感じた。
    • キャラを掘り下げるための設定や専用エピソードも用意されてはいるが、総合的なキャラの総数と比べると物足りなく思えた。
    • 実は作者様のあとがきでも、キャラやシナリオをあまり深堀しきれなかったと語っている。

イベント演出

  • 全体的に演出が弱い印象を受け、前述した件もあってかストーリーにあまり没入できなかった。
  • 本作のイベントシーンは全てノベルゲーム形式で進む。
    • その構成上、歩行グラやマップ上の移動といった表現の機会が失われてしまう。
    • その上、本作では基本的に一枚絵で進行し、感情変化による絵の変化はあまりない。
    • 総合的に見ると効果音だったり画面演出も控えめで淡々と進んでいく印象を覚えてしまった。

キャラクターネーミング

  • 結構似た名前のキャラクターが多く、慣れないうちは混乱しがち。
    • アインス、アイリス、レイ、レイリス…..。
  • 大きな問題ではないにしろ、もう少し分かり易く差別化して欲しかったと思う。
    • 特に物語に意味合いを持たせているわけでもないので…。

総評

白銀の竜と楽園の少女は初心者でも遊びやすいシミュレーションRPG。全体的にグラフィックも良く、センスの感じる音楽なども手伝い、SRPGが苦手な私でも楽しく遊ぶことが出来た。キャラやストーリーの描写がちょっとだけ物足りなく感じたので、その点を重視する人は少し注意が必要かも。

ゲームプレイ

公式サイト

脚注

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