
概要
ストーリー
※前作『魔法少女まトち』のネタバレを極力控えて紹介しています※
【ネタバレ注意】前作 魔法少女まトちの振り返り【クリックで展開】
人生に絶望しながらオーバードーズを繰り返す主人公まトち。ある朝、薬の過剰摂取によって意識を失ったまトちはレヴィ―アイランドという不思議な世界で目を覚ます。そこで猫のような姿をした謎の生物「にゅ」により、魔法少女として戦うことを命じられる。レヴィ―アイランドにはまトちのように連れてこられた「ノイレ」という存在がいた。

まトちはノイレたちを退け、この世界の真相<現実とは異なる精神世界であること/現実で精神を病んだ重症患者がノイレとして選定され放り込まれたこと>に触れながら、やがて最深部へとたどり着いた。最深部で「にゅ」との戦いに勝利したまトちは、現実へと戻った。しかし、まトちがレヴィ―アイランドで戦ったノイレたちは、まトちが精神世界で死に追い込んだことで心が壊れてしまっていたという真実を知る。

耐え切れなくなった彼女は、ひとつの願いの元、歩き出す。そして…


そして本作の物語はここから始まる。人間界とは異なる魔女界と呼ばれる世界。魔女であり救済の能力を持つ主人公『メモワール』と弟子の『デシコ』は静かに暮らしていた。そんなある日『アイ』と名乗る人間の女性が彼女達を訪ねてくる。突然の人間の来客に戸惑う二人。聞けば「助けてほしい子たちがいるんだ」とのこと。どこか満足気な魔女メモワールは彼女の願いを快諾。こうして彼女の救済の物語が始まることとなった。

様々な障害に傷付きながらも救済を続けるメモワール。徐々に明らかになっていく彼女の過去。アイを名乗る女性の目的。救済を経て変わっていく人間界の様相…。様々な思惑が交錯するなかで彼女の行う救済の結末とは…。
「すべて救ってみせる!!たとえあたしのすべてを失くしたとしても!!」
ゲームシステム
ダンジョン探索

オープニングイベントが終わるとメモワールは救済の対象が居る精神世界、いわばダンジョンへと潜入する。本作はRPGツクール製ではあるが、一般的な2Dマップとは違った3D味のあるマップなのが特徴だ。精神世界ではこのすごろくのようなマップを行き来し、特定のマスにおいてイベント(敵遭遇/素材入手/レアアイテム入手/宝箱発見1/回復/ストーリー進行)を発生させながら、最深部に居るボスを倒してそのダンジョンはクリアとなる。
なお、マップ上でいつでも各種お助け機能(現在地記憶、即エンカウント、即脱出、エリアマップ全表示)が使えるので必要に応じて利用すると良い。これらはいずれもダンジョン攻略に欠かせない要素である。ダンジョンは結構広く、簡単にはボスにたどり着けないため色々と試行錯誤することになるだろう。きっと。
様々なイベントシーン

ある程度ストーリーを進めると『混沌の心の海』というエクストラダンジョンに挑戦できる。普通のダンジョンと比べて難易度が高く、どこまでも階層が続く歯応えあるダンジョンだが、数々のランダムイベントが発生するのも特徴だ。ちなみに上記のような人によっては懐かしいイベントは勿論、他のフリーゲーム作品とのコラボが垣間見える時もある。そういった楽しみ方が出来るのも本作の特徴の一つだ。
戦闘システム

ダンジョンマップ内で戦闘イベントに触れると敵との戦闘が発生する。基本的にはシンプルなターン制バトルなのでシステム把握にあまり困ることは無いだろう。イマジンはMP消費魔法、ロクトはTP消費スキルという風に理解して大筋問題無い。そのほか、幾つか代表的な要素を紹介しよう。
画面右上にあるのは空間属性(AREA ELEMENT)といって、魔法を使うごとに属性アイコンが付与されていき、増えれば増えるほどに特定の属性が強化されていくという仕組みだ。雑魚戦はまだしも戦闘が長期化しがちなボス戦は特に注意が必要で、少し目を離すとボスが使う属性のアイコンばかりになり、いつの間にか全滅するということがまぁ良くある。メモワールの持つスキル『アポカリプティカ』で空間属性を全消去させるか、他属性の魔法を撃ちまくるなどしてスライド消去させるといった戦法が重要となる。
画面右中央のMANAというパラメータも重要な要素だ。ターン経過毎にこの数値が増え最大で5に達し、それを消費して以下の各種特殊スキルを発動することが出来る。このゲージ管理もなかなか重要である。
Mヒール:パーティ全員のHPを即時回復する
Mアタック:敵全体を魔力依存で攻撃する
Mオフェンス:任意のキャラクターの攻撃力を即時増加する
Mディフェンス:任意のキャラクターの防御力を即時増加する
少々運が絡むシステム『追撃ロクト』

ただし、少々慣れが必要な要素がこの追撃ロクトの存在だ。
これは通常攻撃又は特定のスキルを選択した場合に、一定確率で追加スキルが発動するというもの。全てのキャラクターが漏れなく所持しているため、プレイヤーはどのスキルがどの確率で追撃可能なのかをある程度把握しておく必要がある。さらに数は多くないものの追撃から更に追撃へと3連携するような追撃ロクトもあるので結構運要素も絡む。正直ここは好みが分かれるところだと思う。私は少し苦手だった。
ちなみに本作の難易度は前作よりも高い印象で、RPGに慣れたプレイヤーでもある程度苦戦を強いられることは間違いない2。苦手な人はEASY(ただしラスボス戦を除く)にするなり即エンカウントでレベル上げに勤しむなりを推奨したい。
キャンプメニューあれこれ

ダンジョン攻略のための下準備としてメモワールの家を拠点に様々な選択肢を取ることが出来る。
大体は書いている通りのことが出来る3が、特徴的なところでは錬金を挙げておこう。アイテムを合成して別のアイテムに変える仕組み自体はRPGとして珍しい要素ではないが、魔女メモワールの特技としてへクセドールという仲間キャラそのものを作り出しパーティメンバーに加入させることが可能である。その数、実に30体程に及ぶのが本作の作り込みの高さを物語っている。
なお、それだけ多くの仲間キャラを使いこなせるのか?という声も聞こえてきそうだが、そのあたりは課題だった前作と比べて上手く工夫されているので評価点の項で解説したい。
ある種定番のアビリティ習得要素

アビリティについても軽く触れておこう。戦闘では経験値やお金のほかにAPを入手することができ、それを使って各パーティキャラを強化するという仕組みだ。特筆するほど真新しいモノでは無いが、APはパーティメンバー内で共同管理するという点が特徴的だ。通常、RPGではキャラクター毎に保持するのが一般的に感じるが、これにも理由があるので後述する。
評価したい点

独自性のあるストーリー&キャラクター
個性的なストーリーやキャラクターは本作も健在であり、むしろ本作は前作よりもパワーアップしている。
まず世界観だが、前作がやや狭い世界観であったことと比較し、本作はだいぶ風呂敷を広げている印象を受ける。メモワールの過去を描きつつ、救済におけるエピソードも語りつつ、魔女界はもちろん救済を経て変わりゆく人間界も描くなど前作と比較して様々な切り口で物語が進行していく。それでいて衝撃の展開が待ち受けるという点では前作と同じで一貫している。この陰惨な物語をあなたは最後までプレイ出来るだろうか?4
しかも今作からは声優を起用しており、戦闘シーンはフルボイスかつ、イベントシーンも要所に至ってはフルボイスという拘りようだ。戦闘参加キャラだけで30人は居ると前述したが、非戦闘メンバーも加味するとかなりの人数に声が割り当てられていることが分かる。改めて凄いボリュームだと思う。そりゃ40時間超のプレイ時間にもなるよね…。
多角的に展開される、引き込まれるエピソードは圧巻

なお、本作にはエンディングが二種類(ノーマル/トゥルー)あるが、ぜひとも頑張ってトゥルーエンドに到達して欲しい。特に前作を遊んだことのある人なら尚更で、この陰惨な物語のカタルシスを感じることが出来ること請け合いであろう。
ただし相変わらず合わない人には絶対に合わない作品だということは念押ししておこう。先に述べた通りだが同性愛描写、暴力表現など人を選ぶ要素は多いし、この点に関しても前作よりパワーアップしている。
自作素材にあふれた拘りある作品

こちらも前作から引き続き、エネミー、キャラクター、BGMが全て自作という拘りようは凄いの一言。それにより、フリーゲームあるあるなどこかで見聴きした覚えのある音楽、エネミー、グラフィック5が登場することは無い。RPGツクールで作成されたゲームでオリジナリティを高めるのは中々難しいが、本作ではそれを高めることに成功していると言える。オープニングやエンディングムービー(歌付き)が付いているのもフリーゲームにしてはかなり珍しい部類だ。
自作素材のクォリティに関しても前作同様に素晴らしい。
グラフィックに関してはデザイン性は十分だし、UI全般もツクールのデフォルトから脱却できているように思う。前作で気になった「死にたい/殺す」等の文字だけの手抜き独特なエネミーが多数出現する問題も解消されている。個性満点だが一体一体がキチンと描かれ総エネミー数も大量に増加しているのは嬉しい限りだ。更に今作ではマップが3Dチックの独自のもの6になり、蔑称として良く話題に挙げられる『ツクール臭』は完全に無くなったと言っても過言ではないだろう。
戦闘、拠点、イベントシーン、各ダンジョンのBGMはいずれも印象的であり楽曲数もかなり多い。前作のアレンジ楽曲などもあり、繋がりを感じられると共に前作プレイヤーへの配慮を感じられ好みだ。好きな曲を言い始めるとキリが無いが、少なくとも『いつか来るあなたのために7』『願いへの奔走Re』『少女ハ呟ク、所詮「模造」ト』が私のお気に入りである。なお、作者のYoutube公式チャンネルで本作のサウンドトラックの一部を視聴出来るので、プレイ前に自分の好みに合うか事前に聴いてみるのも良いかもしれない。
最後に、DLsiteでダウンロード出来る有料版ではゲーム本体とは別にイラスト集、完全サウンドトラック、耳かきASMRも付いて来るのでお金に余裕がある人は購入してみるのはいかがだろうか?イラスト集では語られていない裏設定もあったり、サントラは前作も併せて収録されているのも有難い。
ゲームシステム/バランス面の良化

本作は前作を遊んでいて気になった要素が改善されているのも嬉しいところだ。
例えば前作で気になった、パーティメンバをほぼ固定にせざるを得なかった問題に焦点を当ててみよう。今作は前作と違いパーティが4人から最大8人まで編成可能であることに加え、パーティの平均レベルで加入してくれる(前作は一律でレベル1)。加えて仲間キャラにはキャラランクが設定されており、覚えるスキルや能力値に一定の格差が存在する。これによりある程度ストーリーが進行していくことで自ずとパーティの再編成を強いられるという仕組み8だ。更にアビリティ習得のためのAPがパーティ共有であるという特徴はココで光る。新規加入キャラを突貫で育成しやすいというわけだ。更には仲間にするためのハードル9も前作より下がっている。
同じく前作で気になった、戦闘におけるバランス調整も前作より向上している。前作ではキャラの能力やスキルの個性が薄く、何より終盤までロクな全体攻撃を覚えず戦闘テンポが悪いという問題もあった。今作ではMANA消費スキルという形で最初から誰でも全体攻撃が使える10ため、ゲーム序盤でも攻撃スキルに悩む場面はそこまで無いのだ。全滅のペナルティが前作11より少ない(拠点に戻されるだけ)のもRPGが苦手なプレイヤーにとっては嬉しいだろう。
気になった点
全体的に前作よりも遊ぶ敷居は高い
製作者いわく「たくさんの人にやってほしい反面、合わない人には合いませんよ的なスタンス」である。
更に言うと本作は前作よりもその傾向がより強くなっていると感じている。なかなかショッキングなストーリー展開はもちろんだが戦闘面に関しても前作より難易度が上がっており、特にトゥルーエンドを見るためにはなかなかの苦労が必要であろう(その分達成感もひとしおではあるが…)
【攻略情報のネタバレ注意】ゲーム攻略のヒント【クリックで展開】
- ダンジョン内はマップを切り替えるたびに無限にアイテムが湧くのでまず戦闘より装備を強化しよう。
- 困ったらレベル上げ。即時エンカウント効果もあって何だかんだコレが最善手。
- MANAはターン経過で増えるため雑魚一体残してわざと戦闘を長引かせれば簡単に最大値になる。
- 防御はTPを気軽に増やせる手段として便利。TPは次戦に持ち越せる仕様なので更に便利。
- 序盤はMオフェンス+Mアタックを活用しよう。魔力が高いキャラだと中々良いダメージソースになる。
- 裏要素の装備コーディネートを活用しよう。変化が無いように表示されるなら装備が足りてないだけ。
- トゥルーエンド到達条件の裏ボスはかなり強い。難易度を下げ魔法反射スキル持ちのパーティで挑もう。
その後
Ver2.0鋭意製作中
クリア後に追加シナリオをプレイできるVer2.0を制作中とのこと。以下は製作者ブログの抜粋である。
『容量的な問題もあるので、DLsiteの有料版、もしくは、単体での販売版(500円ぐらい)の有料のみとなります。有料だけに、これ単体だけで10時間以上は遊べるようにするつもりです。シナリオはまぁ多分わりと悲惨だと思います』
『追加される一覧です』
・精神迷宮「創始の墳墓」全20~30階ぐらい
・新エネミー
・新BGM×3曲
・新キャラクター
・レベルキャップ200→300
・能力値限界値HP9999→99999/他999→1200
・装備追加
総評
前作同様に鬱要素、暴力、ショッキング表現、同性愛描写と人を選ぶ要素は多いが、その中身は意外にも大変しっかり作り込まれたRPGである。有料版もあるとはいえこのクォリティでフリーゲームとして公開するとは恐れ入る。前作でも十分にオリジナリティの高い作品だったが、あらゆる面でパワーアップした今作は前作以上に濃いRPG体験を味わうことが出来るだろう。
ゲームプレイリンク
魔法少女まトち(前作)
救済の魔女メモワールと精神迷宮(フリー版)
救済の魔女メモワールと精神迷宮(有料特典版)
脚注
- 宝箱はQTEに成功しないと中身をGETすることが出来ないうえダメージも受けるので慣れが必要 ↩︎
- といったものの、最新バージョンでは敵の性能が下方修正されているため体感上の乖離はあるかも ↩︎
- 次元の亀裂はちょっとしたアイテム収集ミニゲームに留まる要素なので割愛する ↩︎
- ややオーバーな言い方だが倫理的に危ういシーンも多いので… ↩︎
- 決してフリーゲームを悪く言うつもりはないが、フリー素材の仕組み上どうしても避けられない ↩︎
- そのせいかPC環境次第だがマップや戦闘が重たい時もある。環境設定を見直してみよう。 ↩︎
- メタリックな曲が多いなか、この曲が持つテーマ性、背景を知るとなかなか切なくなる ↩︎
- 本作は難易度高めな作品であるため成立するロジックだとも言える ↩︎
- 前作ではダンジョン内の隠しマップを見つけないと仲間を一切増やすことが出来なかった ↩︎
- ゲージ消費技のためおいそれと連発出来ないバランスなのも良い塩梅 ↩︎
- 前作は全滅で精神崩壊度が貯まったり特定ザコ敗北で強制ゲームオーバーだったりこの点はシビアだった ↩︎
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