
概要
ストーリー

それは世界で誰よりも”花”を愛する四季のフラワーマスター 風見幽香の物語
ヒマワリ達も喜ぶ気持ちの良い晴れの日。今日も外に出ていつもの健康管理と庭園内の見回りをしようとした幽香ことゆうかりんであったが、庭園が荒らされていることに気付く。かくしてゆうかりんは、相棒の久侘歌と共に、この事件の犯人捜しの旅に出るのであった。
ゲームシステム
ワールドマップ選択

ワールドマップでは上図のようにワールド1-1、1-2、1-3とステージを攻略していき、ボスを倒すと次のワールドである2-1に進めるという、昔ながらのアクションゲームの構成となっている。なお、ワールド1はほんの小手調べといったところであり、ここで苦戦するようならニューゲームからやり直してでも難易度を下げることを強くオススメする(評価点の項で詳しく解説するが、本作は途中で難易度変更できないうえ、加速度的にステージ攻略難度が上がっていく)
また、クリア後は特定の条件を満たすとEXダンジョンに挑戦することが出来る。本編よりも明らかに難易度が上がっているので、遊び足りないのであればぜひ挑戦してみて欲しい。
基本操作とステージ攻略

ステージ選択後は操作キャラクターであるゆうかりんを操作し、敵を倒しつつゴールを目指す2D横スクロールアクションだ。道中は敵を倒すほかお菓子でライフを回復できたり、ひまわりコインを100枚回収することで残機を増やすこともできる。そして、彼女はその見た目とは裏腹にかなり多彩な行動を取ることが出来る。下記に具体的なアクションを記載しておこう。
まずジャンプ後に傘をさすことで空中浮遊が出来る。これは一度のジャンプ中に2回行えるのが非常にミソである。空中浮遊のほかにも、ジャンプ中に傘をサークル状に振り回しての攻撃だったり、ぐるぐると周囲を蹴りながら少し上昇する竜巻旋風脚めいた攻撃だったり、ロックマンXシリーズを彷彿とさせるエアダッシュまであったりする。更にはエアダッシュ中に敵に接触すればそのままプロレス技を仕掛ける始末だ。
地上での動作もバラエティに富んでおり、例えば通常攻撃がキックと傘の二種類あるほか、ダッシュで敵に接近して敵を掴み、そこから敵を投げつける方向を操作(←↑→)して同士討ちを測ったりもできる。もしくは、掴んだままジャンプボタン押下でプロレス技よろしく敵を巻き込みながら地面に叩きつけるなど、非常にバラエティ豊かである。
このようになかなか多彩ではあるが心配ご無用。クリアする頃にはこれらの技を場面に応じて適切に使いこなせるようになっているはずだ。だって使いこなさないとクリアできないんだもん。
休憩地点での回復&セーブ

本作ではいちステージあたりかなり長く設定されているのだが、相棒の久侘歌が先回りして休憩地点を作ってくれており、道中の中間地点にあたる土管に入ると体力回復+雑談+中間セーブが出来るようになる。土管の中のゆるふわ感は勿論、後述する難易度のこともあり、この休憩地点を見つけた時の安堵感はひとしおである。
なお、発売当初はあまりにも難し過ぎたのか、救済措置として中間地点の土管以外にも要所で久侘歌コインなるものが設置され、それを取ることでその場所からも再開できるよう難易度が緩和された。著者は救済措置バージョンから遊んだのだが、この久侘歌コインが無ければ正直クリアを諦めていたかもしれない。
ボスステージ攻略

各ワールドのステージをクリアしていくとボスステージに挑戦することが出来るのだが、これが良いアクセントになっている。ボスキャラクターがしっかり描かれているだけでなく、ボスによってはただ殴るだけではダメージが通らず特定のギミックを利用しなければいけないケースもある。それもあってか戦闘が長丁場になりがちなうえ、特に高難易度のモードではたった一発が致命傷となる。痺れるボスバトルをお約束しよう。
評価したい点
可愛くコミカルにデザインされたレトロ風横スクロール2Dアクション

まず目に焼き付くのは、全体的に可愛く妥協なくデザインされたゆるふわ感ある雰囲気である。記事をここまで読んできた読者は分かると思うが、ビジュアル面に関してはどこを取っても引けを取らず、非常に丁寧に世界観を描いていることが伺える。
ステージ一つ見ても、森林のマップ、雪山のマップ、幽霊船のマップ、中間地点のマップとそれぞれの描き分けがとても丁寧でワクワク感を感じられるマップである。主人公であり操作キャラクターであるゆうかりんは、ただでさえバリエーション豊かな操作感を楽しめるうえ、ステージによってはなんと水着やスキーウェアの姿まで操作できたりする。各ワールドのボスキャラクターに至ってもボスアニメーションだけでなく立ち絵も用意されていて、ちょっとした会話を楽しむことだってできる。さらにはザコ敵のゴブリン一つ取っても雪山マップ専用の敵グラが用意されていたりと芸がとても細かいのだ。
ところどころに感じられる名作2Dアクションのオマージュ

本作が示すジャンル『横スクロール2Dアクション』といえばこれまで多くの名作が世に出てきたが、実際のところ本作は過去の名作ゲームタイトルのオマージュめいた部分も多く存在する。そうした要素があるのも本作の魅力の一つだ。例えばゴブリンなど多くの敵は倒した際に「ア゙ア゙ー」と断末魔を叫んだりするが、某ゴリラやチンパンジーが活躍するゲームさながらであり、ピンとくるプレーヤーも多いだろう。
他にも、道中の嫌な場所に出現するハチのデザインも良く似ているし、盾を構えて奈落に弾き飛ばすコインドーザーのような敵も居るし、雪山ワールドのスキーステージは操作感が原作のトロッコステージと良く似ている。一転、クライマックスステージの白玉楼では機械や食べ物をモチーフにした様相もあり、こちらはどことなくゴ〇モンシリーズを彷彿とさせるがどうだろうか?ともかく、他にも色々な個所でオマージュを感じ取れるので、そういった作品を遊んだ経験のある人は是非手に取ってみて欲しいと思う。
さて、ここからがある意味本題だが、こんなにもコミカルで可愛くオマージュに溢れた作品をタイトル通りにゆうゆう自適に楽しめるかというと実はそうでもなく…後述をご参照されたし。
警告:アクション有段者でも難易度Expertを初見で選ぶのはオススメしない

本作では難易度を『Picnic、Adventure、Expert』の3種類から選ぶことが出来る。あなたがアクションゲームに自信があるならば、とりあえず最高難易度を選んだりすることもあるだろう。実際のところ私もそういうタチであったが、前情報無しに選択したことをほんの少し後悔している。というのも…。
こんなにゆるふわな見た目をしておいて、本作は数ある2D横スクロールアクションの中でも難易度はかなり高い。いちステージが長いことに加えて、到底初見攻略できないような悪意にまみれた構成のステージも多く、死んで覚える死にゲーの部類にすら入ると言っても過言ではないだろう。ちなみにクリア後はEXステージを遊ぶことも出来るが、本編に比べ難易度が爆上がりしており、この世全ての悪を体現したようなステージ構成を拝むことが出来る。
加えて難易度Expertではライフゲージはほぼ飾りであり『一撃アウト OR 瀕死ダメージ』の二択しか存在しない。ゴブリンに一撃で殺された時にはえもいわれぬ無情感すら覚えることであろう。ステージ内に回復アイテムは配備されているものの、雀の涙程度しか回復出来ないためほとんど役に立たないのだ(難易度Expertではアイテム回復量もマイナス補正がかかっている)
あまりに辛く道中で難易度を変更しようとしたがそれも出来ず、某ギャングの台詞を思い出す始末である。難易度Expertを選ぶ時の説明欄『一撃アウトだってなんのその』は決して誇張ではなかったというワケだ。
「あなた……『覚悟して来てる人』……ですよね。最も高い難易度『Expert』を選ぼうとするって事は、逆に『クリアできないかもしれない』という危険を常に『覚悟して来ている人』ってわけですよね……」
なまじ、ある程度アクションが上手い人だと難易度Expertでもワールド2くらいまでは問題なく進めてしまうので、上手い人ほどこの罠に陥りやすいのではないだろうか。
とことんアクション初心者には向かない作品
ではアクションが苦手な人や初心者は難易度Picnicで遊べば良いのかというと、そこにも罠がある。本作は難易度によるステージのギミック、敵の数などに変更は無いのだ。先の画像のようにロクに足元が無いような奈落ステージも多く存在するので、こればかりはどうしようもない。難易度Picnicの説明では『あなたの冒険を阻む者はもはや存在しないでしょう』とあるが、どうやら奈落は対象外のようだ。
極めつけは、本作ではロックマンシリーズで言うところのE缶、ゴ〇モンシリーズで言うところのおにぎりや鎧、兜といったクリアさせるための都合の良い救済措置は一切存在しない。つまるところ、クリアするための近道はプレイヤーが上達する以外に残されていないのだ。見た目に反してなんという硬派なゲームであろうか。
だからこそゲームクリアの達成感は凄まじい
ここまで難易度について率直に語ってきたが、だからといって本作がオススメ出来ないかというとNoだと言いたい。一見理不尽なようでいてクリア出来る僅かな希望はちゃんと残されており、何度も繰り返し挑戦することでプレーヤースキルが確実に上達し、最終的にはクリアできるアクションゲームの醍醐味自体は失われていないし、難しい分その感動もひとしおというものだ。それを見越してか、残機が無くなりゲームオーバーになっても、比較的簡単に残機を回収できるボーナスのようなステージがちゃんと用意されているのも有り難かった。なんだかんだ難易度Expertをクリアすることが出来た自分を褒めてあげたい。
そういえば本作のSteamレビューに「高難易度を選んでしまったばかりにゲームプレイにイライラしてネガティブなレビューを書くことは止めて欲しい」というコメントすらも見受けられたが、私もそのレビュアーと同じ意見だ。難易度選択の際は『覚悟』を持って選択しよう。難しければ下げれば良いのだ。
(だからといって流石にアクション初心者にはオススメ出来ないが…)
気になった点
ゲームデザインや操作性など一部仕様に難あり
本作は難易度が高いことはこれまでに散々お伝えしてきたのだが、下記の仕様も難易度を高めることに一役買っている。全体的に『甘えは許さない』と言ったところだろうか。しかしながらSteamレビュー欄ではこのあたりに関してやや否定的なコメントもあったように思える。
〇全体的にゆうかりんや敵キャラの当たり判定が広めで避けたと思っても当たっていることが多い。
〇十字キーの下ボタン押しっぱなしでジャンプ着地しても、しゃがみモーションにならない。
〇倒した敵キャラが画面を少し戻すだけで直ぐに復活する。
〇ゆうかりん被ダメージ時の無敵時間がかなり短く、油断するとハマり死ぬ。
総評
すべては「簡単そうなゲーム?優しそうなゲーム?見た目に騙されてはいけません。進むにつれて牙を剝いてくる冒険と世界をどうぞ最後までお楽しみください」というゲーム紹介文が示す通りだ。ありそうで無かった新ジャンル『横スクロール2Dレトロアクション死にゲー(長い)』を開拓し、これほど達成感ある内容に仕上げてくれたNUU氏に敬意を表したい。もちろん可愛らしく妥協のないグラフィックやアニメーションの品質もまた素晴らしい。アクションゲームを嗜んでいる人であれば是非プレイして欲しい一作だ。
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