『ジャストリーサル』レビュー|シャドバライクでやり込み甲斐あるシミュレーションカードゲーム

〇シャドウバースをベースにしつつオリジナリティも感じるカードバトルシミュレーション
〇ストーリーモード攻略後のフリーバトルは難易度が高くここからが本番
〇ゲームシステムに全振りしているため人を選ぶ作品ではある

目次

概要

moto氏によりRPGツクールで作成されたシミュレーションカードバトルゲーム。スマホカードゲーム『シャドウバース』を参考にしつつも、独自の要素もあり差別化されオリジナリティを感じるゲームシステムが最大の特徴。プレイ時間はストーリーモードクリアまでは2時間程度だが、クリア後のやり込み要素も含めると数十時間を超えるポテンシャルを持つ作品。

ストーリー

命の大地はいわばダンジョンであり探索先のマップを意味する

「——これは革命だ!革命無しには宮廷貴族の特権を奪うことはできないのだ!
国民の為ならば、私は暗黒将軍にもなる!

辺境の城で突如反乱が発生。かろうじて逃げ延びた部隊長りりィは国の王子シグルトに報告する。すぐさま鎮圧の準備を始める王子だったが、これを成長のための良い試練と捉えまだ戦場経験の無い王女ディアーヌに部隊の指揮を命じる。王女は初めて剣を握り、周囲の人々に支えられ、とまどいながらも出陣することとなる。

優柔不断で頼りない王女だが、果たして彼女は国を守ることが出来るのか?

ゲームシステム

一対一の奥深いカードバトル

一見すると難しそうだがストーリーモードのチュートリアルにて段階的にルールを習得できる

本作はシステム面が非常に凝っており、奥深いカードバトルを楽しむことが可能だ。順を追って説明しよう。プレイヤーは手前側で、奥側に居るジジイが敵(CPU)1であり、表示されているライフポイント(14)を削り切れば勝利となる。反対に自軍リーダーのライフポイント(40)を削られれば負けとなる。ちなみにライフをぴったり削り取ると「JUST」と画面に表示され、更に「ジャスト!」という掛け声とともに戦闘が終了する。2

中央(盤面)には横一列に生物や人間のカードが揃っているが、盤面奥の方が敵側、手前の側がプレーヤー側が使役しているカードであり、盤面には最大5枚まで配置が可能である。カードには種類があり、大きくコマンドカードシンボルカード戦闘カード3種類に分別される。このうちコマンドカード(回復を行う/カードを引き直す等の効果)はカードの効果上、場に出すことが不可能なため盤面への配置は不可能である。

カードに表示されている数字を見て欲しい。赤色背景青色背景がセットになっているカードが戦闘カードであり赤色が攻撃力、青色が生命力を意味している。そして黄色の数字がシンボルカードで盤面に様々な恩恵をもたらす補助カード的な役割を持つ。つまり盤面には敵陣営:シンボル1/戦闘2、味方陣営:シンボル1/戦闘3という布陣なのが分かる。

最後に画面下の説明に移るが、これはプレーヤーの手札を表している。全てのカードは左上に緑色で数字が表現されており、これはカードの持つコストを意味する。プレイヤーの傍にMPという表示があるのが分かるだろうが、このMPを消費しながらカードを取捨選択していくことになる。そのターンでMPが尽きやることが無くなればターン終了を選択する。本作はこうしてお互いのターンを行き交いカードを引いていき、MPと相談しつつ各3種類のカードを上手く使い分けて盤面に配置しながら戦っていくゲームフローである。

戦闘カードの大まかな特性

最初はこの特性を理解するのに少々時間がかかるやもしれない

次に戦闘カードには単なる能力値だけではなく様々な特性があることを理解しよう。戦闘カードにはほぼ必ず何らかの特性を持ち、大別すると【速攻/突撃/守護/撤退】4種類である。3一人の戦闘カードにつき複数の特性を所持している場合もある。

【速攻】
盤面に配置後すぐに敵戦闘カード 及び 敵リーダー本体を攻撃可能な特性を持つ。非常に便利な特性だがそもそも基礎能力が低かったり後述する撤退と組になっているカードも多いことが悩ましい。

【突撃】
盤面に配置後すぐに敵戦闘カードを攻撃可能な特性を持つ。性能だけ見れば速攻の劣化だが能力の差別化として重要な特性とも言える(配置後1ターン経過で敵リーダー本体への攻撃も可能だがこの1ターンの差は大きい)

【守護】
黄色く盾のように光り攻撃のターゲットが常に守護カードに最優先される特性を持つ。このカードを配置していればたとえ速攻特性のカードが場に居ても直接リーダーを攻撃することは出来ない。防御性能が高い戦闘カードがこの特性を持つ傾向にある(1ターン経過で敵戦闘カード/敵リーダーへの攻撃も可能)

【撤退】
盤面に配置後、1ターン経過すると自動で破壊され捨札となってしまう特性を持つ。速攻特性と組になっていることが多く、強い戦闘カードに対するデメリット的な意味合いで用意されていることが多い。

プレイしてみれば分かるが、この4種類の特性を上手く使い分けないとなかなか敵リーダーへ攻撃を通すことが出来ないのだ。

魔力解放について

魔力解放にはほぼメリットしかないので積極的に利用したい

更に本作の特徴的な要素の一つが魔力解放である。全ての戦闘カードはコマンドカードの魔力解放を使うことでパワーアップすることが出来るのだ。ただ単にパラメーターが上昇するだけに留まらず、特性追加/味方の強化/敵への妨害/敵リーダーへの直接攻撃など様々な恩恵をもたらすので、手札にあれば是非積極的に使用していきたいところ。しかも消費MPが0~1と費用対効果も抜群なのだ。しいて注意点があるとすればこのカード単体では手札を圧迫するだけなので持ち過ぎには注意したいし、魔力解放の重ね掛けも出来ない。

割り込みシステム

敵のターン中は『割り込みボタン』が表示され、クリックすると特殊演出と共にいつでも割り込むことができる

ここまでに紹介した要素だけでも十分に戦略性が感じられるのだが、更に上級者向けのシステムとして、ストーリーモードクリア後相当の難易度上級にのみ割り込みシステムが解禁されるこれは一度の戦闘中に3回しか使用できない切り札であり、相手のターン中にいつでも自分のターンを10秒だけ進めることが出来るというものだ。

しかしこの割り込みシステム、とても強力だが反面使いこなすには慣れが必要だ。どのタイミングで使うべきなのか勘所が分かり辛いのは勿論だが、割り込みを発動してもその前の自分のターンで消費したMPや行動済みの戦闘カードは再アクティブにならないし、たった10秒で戦略を行動に移さなければいけないのだ。敵のターン実行中にピンチになったからといって、脊髄反射的に割り込みを発動しても何も打つ手が無くただ茫然と10秒経つのを見つめるだけ、ということも往々にしてありえるのだ。

評価したい点

やり込み甲斐のある優れたゲームシステム

ストーリーモードはほんの小手調べ。クリアしてからが本番だ。

実は本作のストーリーは失礼を承知で言うと他作品と比べ突出したモノがなく、グラフィックや演出面でもRPGツクール基本素材の利用が目立だったりと今一つ盛り上がりに欠ける。しかしその全てを覆すほどの魅力があるのが本作のゲームシステムである。むしろストーリーモードは難易度が低く、独特な駆け引きをあまり考えなくても楽に勝ててしまうので、いっそ先にフリーバトルを遊ぶことを検討しても良いくらい4

さて、肝心のフリーバトル(上画像)ではストーリーモード相当の難易度(中級)のほか、上級超級も存在しており様々なプレイスタイルを持つリーダーを選択することが可能だ5。恐らくストーリーモードをクリアしたばかりの腕前ではこのモードをクリアするのは不可能と言っても良い難易度だ。何度もリトライを繰り返し相手の戦術を理解し、お気に入りのキャラクターを見つけ、自分流のコンボを組み込み、最終的にクリアできるこの過程、この達成感はまさにプレイヤーの成長を促すローグライト系のゲームだと言えるだろう。これをRPGツクールで再現しているのだから驚きである。

そして、最終的に超級をクリア出来るようになるまではかなりの時間を有するはず6。ゲームシステム重視の作品が好きで挑戦的なゲームを遊びたい人にはまさに本作はジャストな作品といえよう。

優れたゲームシステムの骨組みを支える細かな作り込み

カードの作風は全体的に見れば異なるが、いずれも個性があり見ていて面白いデザインだ

本作は優れたゲームシステムであるが、その土台を活かすために様々な工夫をしていることもポイントだ。まずカードの総数はじつに350枚とフリーゲームとは思えない驚異的な枚数を誇り、更に戦闘カードの多くは戦闘ボイスまで導入されているのだ7。カードのユニーク性があるおかげで戦闘でのマンネリ感は感じられないし、戦闘ボイスが臨場感をもたらすことにも成功している。

恐らくはカード絵師や個別ボイスへの依頼など一苦労あったと推察できるが、フリーゲームでここまでのボリュームとは恐れ入る。それでいてゲーム進行のスピード感も快適そのもので、システムやボリューム、快適さの歯車がガッチリ噛み合っている。

デッキ構築などその他様々な要素を使いこなそう

フリーバトルではショップ機能もありデッキ構築に悩むことも

本作のゲームシステムについてここまで非常に多くの事を語ってきたが、実は尺の都合で説明を割愛してしまった細かな要素(呪いカード8/魔道具9/コマンドキャスト10/装備品11/保留特性カード12)もまだ残っている。それをやり込み甲斐があると捉えるか、もうお腹いっぱいと感じるか、それはあなた次第だ。

気になった点

ゲームシステム以外に見どころは少ない

ストーリーモードの作り込みはシンプルでゲームシステム面の作り込みと反比例していると言えよう

評価点の項でも述べてはいるが、メインであるはずのストーリーモードがいまひとつ盛り上がりに欠けるため、ストーリーやキャラクターの魅力なども含めてゲームを評価したい人にとっては刺さらない、人を選ぶ作品と言える。

結局シャドウバースから脱却できていない

確かに近しい部分は感じられる

ここまで良い点ばかりを挙げてきたが、結局のところ本作はシャドウバースをベースとして産まれた作品であり、オリジナリティという点では悩ましい一作ではある。これはオマージュやリスペクト作品が産まれやすいフリーゲーム/インディーゲーム界隈に対して少々厳しめの指摘ではあるが、作者のmoto氏のNOTE自ら反省点として語っていたので引用する形で採用させていただいた。

プレイ画面だけでも面影はあるが、例えば戦闘カード[速攻/突撃/守護/撤退]/シンボルカード/コマンドカードの枠組みはほぼシャドウバースと同等(フォロワー[疾走/突進/守護/ラストワード]/アミュレット/スペル)だし、他にも魔力解放と同等の仕組みである進化システムが存在する。

とはいえ本作はシャドウバースの劣化コピーでないことは言っておきたい。コピー元のオマージュをしつつも呪いカードに魔道具、割り込み、保留特性など、本作独自の要素はちゃんとあるのだ。13

ハースストーンの広告

まぁもっとも、シャドウバースハースストーンなるゲームのコピー作品だという説もあり、企業ですらパクりパクられな面もあるのであまりこの指摘は深刻でもない気もする。そして何より、本作が課金無しの完全無料で最後までやり込み、遊び尽くせる個人製作のフリーゲームなのだということも忘れてはならない。

その他プレイ時に気になった挙動など

〇破壊耐性の性質が分かりにくく感じた。例えば無慈悲な流星群で破壊出来るがコレもカードの能力では。
〇割り込みシステム説明にあたり情報量が少なくアッサリだったように感じた。
〇カードのタッチレスポンスがやや悪い時がある。
〇プレイヤーは運要素が絡む一方で、敵リーダーはある程度決まったカードが配られ行動がパターン化しておりズルいなと感じた。

総評

シャドウバースを参考にしたゲームシステムでありつつも随所にオリジナリティを感じられるゲーム性を持ち、更にフリーゲームとは思えないボリューム感にやり込み甲斐のある難易度モードの搭載と、まさにゲームを楽しみたい人にはうってつけの作品である。一度遊び始めるとついついやり過ぎてしまう中毒性の高いゲームプレイをぜひあなたも体験してみて欲しい。

ゲームプレイリンク

フリーゲーム夢現(ブラウザ版)

Freem!(ダウンロード版)

脚注

  1. 残念ながら本作はCPU戦だけしか行えずプレーヤー同士の対戦機能は無い ↩︎
  2. ちなみにJUST勝利しても達成感があるだけで何らご褒美が無いのが残念である ↩︎
  3. 他にも貫通、守護無視など色々あるが細かく述べるとキリがないので省略する ↩︎
  4. とはいえストーリーモードではチュートリアル的にルールを学びながら遊べるという利点もある ↩︎
  5. オーソドックスな騎士タイプも居れば魔法タイプ、ネクロマンサータイプなどスタイルは様々だ ↩︎
  6. 著者はというと超級で選択できるリーダー9人のうち1人をクリアするのがやっとだった ↩︎
  7. 個人的に苦しめられた部隊長りりィの戦闘ボイス「未来の、その先へ」は私のお気に入りだ ↩︎
  8. いわゆるお邪魔カード。これをあえて利用する戦術が得意なデッキを組むこともできる ↩︎
  9. カードを捨てた分だけキャパシティ(CP)が溜まっていき、一定数に達すると強力なアイテムに変化 ↩︎
  10. コマンドカードを使った分だけ特定カードの利用コストが減る仕組みで、これを利用した戦術もある ↩︎
  11. ショップで購入可能であり、カードとは別に恒久的な効果を得ることが出来る ↩︎
  12. 通常はターン中に消費しなかったカードは捨て札となるが、この特性は例外で次のターンに持ち越せる ↩︎
  13. 著者はシャドウバースを遊んだことは無く、調べた限りの情報であるため万一誤りがあれば教えて欲しい ↩︎
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