概要
ストーリー


目の前で親が殺された。
何もしていないのにどうして?
誰か教えてよ。
不思議な事に、ここまでひどい仕打ちを受けているのに、国民は誰も国に対して反抗しようとしない。
みんな、私と同じように大切な人を国に奪われているはずなのに…!


———シィラという少女が住んでいる国は恐怖政治を行う独裁国家だった。
彼女は、幼い頃に理不尽な理由で国に両親を殺害されてしまった。
やがて大きくなったシィラは、国への復讐心を隠しながら国家打倒の協力者を探し始めるのだった。
この世界には大きな秘密がある事を知らずに……。
ゲームシステム
戦闘システム


戦闘システムはRPG定番のフロントビュー形式であり、画面に表示されていること以外に特別な要素は無い。戦闘参加メンバーは戦闘時の入れ替えなどもなく最大4人で固定である。RPG初心者でも取っつきやすいゲームシステムだと言えるだろう。全体的に戦闘難易度も低いので、ザコとの戦闘で困ることは無いだろう。
その一方で、ボス戦は少々難易度が高めであり、力任せのいわゆる脳筋戦法は通用し辛い。ボスの戦法&弱点把握、装備やスキル見直しはもちろんのこと、後述するパーティ編成を駆使することになる。私の所感だが、ボスの対策を100%完全に取ることが出来ないのが本作の面白いところだろう。難易度をいつでも変更可能なので厳しいと思ったら難易度を下げるのも手だ。逆に、腕に覚えのあるRPGプレイヤーはぜひ難易度ハード&レベル上げ無しで挑戦していただきたい(難易度ハードはレベル上げが前提と謳われている)
やや余談だが、著者はこのボス戦のBGMが作品を通して一番好き。本作はMIDIをはじめ古いものから新しいものまで様々な楽曲が採用されており、そういった面でも楽しめる作品である。
パーティ編成


仲間が5人以上に増えるとパーティ編成が出来るようになる。といってもただ戦闘参加メンバーの4人を決めるだけかというと、そうでもないのが本作の特徴だ。
【支援効果】の欄を見ていただきたい。キャラクターに何かしらの効果が付与されているのが分かるだろう。これは戦闘参加キャラを決めるとともに、そのキャラと対になるサポートキャラを選定することでボーナスが得られるのだ。特定の強力なスキルを習得できる組み合わせもある。ボスとの戦いが苛烈になるシナリオ後半になるほど考慮が必要な要素だ。
ちなみに主人公のシィラは外すことが出来ず、スタメンが確約されている。
ミニゲーム


本作の特徴として挙げておきたいのが、全体的にミニゲームが豊富なことである。
ゲーム序盤の戦車イベントを皮切りに、ゲーム進行中の様々な場面でミニゲームが発生する。アクションからシューティング、クイズ、果ては某裁判ゲー風、音ゲー風のものまで実に多種多様である。特に上記の戦車砲弾避けミニゲームは難易度の高さ1もさることながら、シナリオ展開から見ても非常に印象に残るミニゲームの1つであったと私は思う。
なお、ミニゲームが多いことは人によっては抵抗があるだろうが、本作ではそのあたりを上手く工夫しており私は評価したい所存である。詳しくは評価点の項で解説しよう。
依頼&メール


主人公のシィラは国への復讐心を抱えつつも国の組織に所属しているため、ストーリーが進行すると民間からの依頼を承ることが出来る。いわゆるクエスト的な要素である。もちろん達成報酬付きであるため、余裕があれば積極的に依頼をこなしてみよう。ゲーム中盤以降になると町から町へ移動するワープ機能も使えるため、そこまで苦にならないはずだ。
他にも、依頼とは別のメール機能で国の報道機関からの通信を受信し内情を把握したり、知人や友人からの連絡をキッカケにシナリオが進行するような展開もある。ゲームの世界観、雰囲気作りに一役買っている仕組みだと言える。
評価したい点


ちょっぴりハードで見応えのあるストーリー展開
可愛いげのあるイラストやアスキーアートという旧2ch出身要素があるため誤解や偏見を持つ人も居ると思うが、本作のシナリオはギャグ要素はあれど全体を通して結構まじめ。とりあえずゲームを起動して数分オープニングを見てみればどんなものか大体分かるはずだ。親を亡くしたシィラの覚悟が活路を見出し切り開いていく様相と、それに共鳴するように集まる協力者の面々により少しずつ帝国を追い詰めていくストーリー展開はなかなかドラマチックで見応えがある。
なお、全面的にまじめとは論じたが、いわゆるギャグ担当キャラっぽいのも居るので光が差さないほど暗い作品というわけでも無い。つまりは良い塩梅ということだ。最後に、全体としてみれば少ないのだが微妙にホラー要素も含んでいるため、一応注意喚起しておこう。
どこか謎めいた展開も


さて、ここまで読むと『虐げられた国民が帝国を打倒する勧善懲悪モノのシナリオ』に見えるかもしれない。その表現は大筋は間違いないのだが、実はストーリーを進めるにつれ、その裏に隠された物語が見え隠れするのも本作の魅力の一つだ。徐々に明らかになっていく世界の真実をぜひその目で確かめて欲しい。
豊富なミニゲームの数々


ゲーム界隈にて定期的に話題になるミニゲーム論争。ミニゲームよりも本編を遊びたいだとか、ミニゲームが難しくて先に進めないだとか、テンポが悪いだとか、ミニゲームの報酬でレアアイテム配置やめろだとかそういう人の気持ちはとても良く分かる。著者である私も最近、ミニゲームだらけで水増しされた商業RPGを遊んで辟易した記憶がある。
さて、本作もご多分に漏れずミニゲームが豊富な作品ではあるが、これが中々工夫されているのだ。シナリオ上必須なミニゲームは実はそこまで多くなく、成績がゲーム攻略に大きく影響しないし、詰まった人向けのお助け要素もある。ミニゲームで賛否が分かれがちな点が考慮されている2のだ。全体的にテンポも良く話の腰を折る感じも無かった印象だ。
これらを加味すると総じて良い塩梅に仕上がっていると私は思っている。むしろ作品のオリジナリティを上げる工夫をしていると私は好意的に捉えたい所存である。
気になった点


全体的にレガシーなUI & グラフィック
本作は最新のRPGツクールを使いつつも、あえて旧作であるRPGツクール2000のUIに近づけて製作したと作者の遠藤なお氏は語っている。その再現度は大変高く、長くRPGツクール作品を遊んできた人はマップやメニュー、戦闘UIなどに懐かしさを覚えた人も多いのではないだろうか?(私もそうだった)
ただし、これはプラスとも言えるしマイナスとも言える。古いUIを受け付けられない人も世の中には沢山居るだろうし、本作はそのこだわりがゆえに少々損をしている印象すら持ってしまった。ゲームシステム周りも真新しいものは無いので、システム面を楽しみたいプレーヤーにも向いているとは言い難いところだ。
とあるキャラクターの扱い
【ストーリーの微ネタバレ注意 クリックで展開】
ゲーム序盤で加入する、若かりし頃のシィラの先生でもあり軍隊所属でもあるプギェン。まだ仲間も情報も少ない序盤で貴重な戦力かつ、シナリオに含みを持たせる重要キャラ(と少なくとも当時は思っていた)であった。そんな彼はシナリオ都合で一度別れ、中盤以降に合流し晴れてパーティインする。のだが…。
その後のパーティ内での扱いが悪く様々な場面で空気キャラ扱いされてしまう。RPGに良くある『単に出番が無くてあまり喋らなくて空気』というわけではなく、プギェンが何か喋ろうとしても彼の話を遮るようにストーリーが進行する『公認空気キャラ』と化してしまう。遠藤なお氏のあとがきによると、この空気キャラ設定は別作品からインスパイアされた結果のようだ。
彼にだって明確な戦う理由があったのだし、ゲーム序盤から存在感が出て好感を持てていただけに、急な空気キャラ扱いは正直残念であった。シベリアでの一件があったのにDQNシティのイベントで処刑寸前ですら気付いてくれないのはさすがに可愛そうである。
余談
ギココイン勢について
インターネット黎明期に生まれたアスキーアート(AA)だが、令和のこの時代に来て新たな局面に来ている。実は現在においてAAは、仮想通貨と切っても切りづらい非常に微妙な関係性にあることを皆さんはご存知だろうか?平たく言うと仮想通貨界隈を発端に世界中にAAを流行らせたいと考え活動している、通称『ギココイン勢』という勢力が存在する。
「AAが流行って欲しくて色々活動してるんなら別に良いんじゃないの?」
と思う人も居るだろうがしかし、ことはそう単純ではないのだ。
さてここで、作者の遠藤なお氏によるギココイン勢との接触/対話を纏めたNOTEをここに共有しておきたい。ギココイン勢がどういう集団なのか、何が問題なのかがとても良く分かる内容となっている。かなりボリュームがあるが、少しでもAAに触れたことがある人、関心がある人は一読していただきたい。まるで一つのドキュメンタリー作品を読み終えたような読了感を感じられること請け合いだ。単独で接触しコミュニケーションを図ろうとした遠藤なお氏の試みにいたく感心した次第である。
総評
一見するとイロモノ感がありそうな見た目だが、内容はとても真面目でしっかりRPGとして楽しめる内容だ。特にここまでミニゲームが豊富でありながら全体のテンポを損なわないゲームデザインは良く出来ているし本作以外にはあまり思いつかない。気になる点はあれどモナーRPGを初めて遊ぶ人でも、AAを知らない人でも、十分に楽しむことが出来る作品だ。








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