『THE LAST WISH』レビュー|古き良きレトロRPGを彷彿させる王道フリーゲームRPG

〇古き良きスーパーファミコン作品を思わせる作り込み
〇良く練り込まれた多彩な戦闘アニメーション
〇他のゲームと一線を画す妥協なき美しいマップ
〇フリーゲームRPG『風と花曲のアンブレラ』とのコラボイベント実施中

目次

概要

「たーゆ」様製作のRPGツクールMZ製フリーゲームRPG。本作は古き良きレトロRPGを思わせる作り込みが随所に見受けられ、マップや戦闘アニメーションの凝りようと独自の戦闘システムは一見の価値あり。本作公開の一年後に戦闘ボイスや補完シナリオ、演出強化が盛り込まれたVer2.0.0がリリースされ、大幅なアップデートにより更に魅力ある作品へと進化している。更に最新作のVer2.1.0では同じく名作フリーゲームRPGの『風と花曲のアンブレラ』とのコラボイベントも追加された。

ストーリー

黒衣の男とツオイスなる人物の思惑とは…?

——大陸開放戦争
生まれながらに持つ強大な魔力で大陸を支配し、民が貧困に喘ぐ中、贅の限りを尽くしていた魔術王一族。一致団結した民の反乱によって、甚大な犠牲を払いながらもついに自由を取り戻した。そしてこの戦争から実に、数十年の時が流れた。

人々の記憶からは、この出来事が過去のこととして徐々に薄れつつあったのだが…。

しっかり者の兄イシュアとお調子者の弟フレンはどちらも村の人気者だ。

そして、今。
フォーガルデン村で平和に暮らすイシュアとフレンは、毎年恒例となっている村の剣技大会に出場する。剣技大会後は大陸開放戦争終結を記念とした破魔の儀なる儀式を執り行う。どちらも形式的なモノであり、何事も無く終わるはずだった。

まるで別人のように暴虐の限りを尽くした兄イシュア

しかし天候は荒れに荒れ、兄イシュアが突如として豹変。育ての親のグランツと弟であるフレンを痛めつけ、儀式に使う予定だった魔装具を持ち逃げする暴挙に出る。時を同じくして、世界各地でもこの異常事態は観測されていた。かつて、世界を支配していた魔術王が所持していた魔装具。それが全て奪われてしまったのだ。

1人無事だったフレンは、豹変した兄を止めるため。真実を知るため旅立つ。
そして、彼を待ち受ける運命とは・・・。

ゲームシステム

戦闘システム

序盤はともかく中盤以降はスキルのバリエーションが増え、多彩な戦闘が楽しめる

今ではもう珍しい部類のランダムエンカウント方式を採用している。早々にエンカウント調整アイテムが手に入るので、その点で苦労することはないはずだ。戦闘はサイドビューのターン制バトルであり、キャラのアイコンが右上の行動ゲージに到達すると行動可能になるというものだ。とまぁ、ここまでは比較的シンプルな戦闘システムではあるが、次に説明する要素がオリジナリティを高め、戦闘を面白くしている。

まず一つ目に、敵専用のステータス異常であるスタガー&ダウンについて説明しよう。
相手からの攻撃を受け続けると独自のスタガーゲージが蓄積し、満タンになるとスタガー状態、更にそこから特定の攻撃を受けると一定時間ダウン(行動不能)になるステータス異常のことである。この状態になると敵は文字通り何も出来ないので、如何に上手にダウン状態に陥らせ、最大火力を叩きこむかが基本戦略となる。

ドライブポイント消費技

アシストキャラは隠し要素やコラボも含めて沢山いるので、多彩な戦略を組むことが可能

DP:ドライブポイント(中央各戦闘キャラ絵柄の下にある水色ゲージ)についても説明しよう。

まずはアシストキャラについてだ。こちらは冒険中に仲間になった非戦闘キャラが加勢してくれるという要素であり、DPを消費する代わりにターン消費無しというのが最大の売りどころである。アシストキャラはアクセサリーという形で装備することで戦闘時にスキルとして使用可能であり、基本的には1キャラにつき1人しか装備出来ないが例外もある。アシストキャラのスキルは変わったスキルも多く、戦況をひっくり返す力を秘めていると言えよう。

開放奥義はエフェクトや演出がなかなか気合いが入っており、実にクール

さらに、そのDPが最大値に達するとオーバードライブ状態となり、各ステータスが上昇するほか開放奥義が使用可能になる。いずれもド派手で高性能なスキルばかりなので、チャンスがあれば是非使ってみよう。中には更に+αの条件を満たさなければ発動できない開放奥義もあるが、その分威力は凄まじい。

ただしこのオーバードライブ状態、利点ばかりとは言えず欠点もある。一つは強制発動であること。任意発動とするには専用のアクセサリーを装備する必要があり、発動のタイミングを調整出来ないのだ。もう一つはオーバードライブ発動後は必ずDPがゼロになってしまうことだ。ステータスアップや開放奥義の恩恵が受けられるのは良いが、代わりにアシストスキルが一切使えなくなるため意外と使い勝手が難しい。よって本作はHP、APと共にDP管理も重要な要素となるのだ。

スキルツリー

上位のスキルになってくると威力はもちろんエフェクトもなかなかクール

ゲームとして定番の要素ではあるがこちらも紹介しておこう。戦闘を繰り返すと共にSP(スキルポイント)が溜まっていき、メニュー画面から習得できるシンプルな仕組みだ。キャラの特性やボス敵の相性など踏まえて効果的にスキルを習得していこう。どんなスキルを習得するかで戦闘の難易度はグッと異なるのだ。

【固有術技】各キャラ固有のスキルを習得する。
【汎用術技】全員共通のスキルを習得する。
【追加能力】ステータス値の強化等が可能。

なお、覚えたスキルは簡単にリセット出来るためあまり深く悩む必要はない。

コラボイベント – 風と花曲のアンブレラ –

プレイアブルキャラではないが、アシストキャラとして存分に活躍してくれる

バージョン2.1.0からは同じくフリーゲームRPG『風と花曲のアンブレラ』のコラボイベントを遊ぶことが出来る1なかなか気合いの入ったコラボであり、主人公のセシリーを絡めた交流イベントを楽しめるのは勿論、彼女をアシストキャラとしても使用できるのだ。そのうえ原作で人気のあのキャラも登場するため、雰囲気を感じられること間違いなしだ。更にはイベント自体の難易度も高く、非常にやり込み甲斐のあるコラボイベントとなっている。

なお、原作も大変面白い作品なので、気になった人はぜひプレイしてみて欲しい。当ブログでも紹介記事を執筆しているので参考までに見て頂けると幸いである。

その他いろいろ

これもRPGの王道。君は全て見つけられるかな?

折角なのでVer2.0.0で追加された要素もここに記しておこう。やや余談だが本作はバージョンアップによって着々と王道RPGとして遊べるお楽しみ要素を追加しており、個人的にとても好感が持てたりする。

【骨董品おじさん】
世界中に散らばっている骨董品を集めて献上するとレアアイテムを入手できる。いわゆるちいさなメダル的ポジション。全て入手するのは案外ちょっと大変だったりする。

【闘技場】
味方の中から一人を選び一対一で戦い、勝利したら1つ上のランクにチャレンジできる。普段とは異なる一対一の戦闘になるため普段は使わないようなスキルが活躍することも…?

評価したい点

彼女の表情を良く見て欲しい。眉間にしわを寄せ怒っている表情差分をも作り込んでいる

グラフィック

本作はRPGツクール製のRPGでありながら、かつての名作レトロRPGを彷彿とさせるような、グラフィック全般への拘りようが強く感じられる一作である。一例として、悪く言えば在り来たりであるスキルツリーは独自のアイコンを作るなどしてUIを工夫しオリジナリティを出そうとしている。

それだけではなく、マップの工夫にも強い拘りを感じる。たかだかマップと侮るなかれ、こちらも有料のマップ素材を追加で購入。更に足りないものはドット絵を描いて自作するという拘り。これにより一味違うマップへと変貌するのだ。

加えてパーティクルエフェクト2が効果を高めている。例えばフィールドでは木の葉、湿地帯では雨。雪原では雪化粧、地下牢では埃といった具合に、静止画になりがちなマップに臨場感を出している。ダンジョンのみならず街や村も同様に工夫されていて、雲や陽光が差し込み、臨場感を出していたり、港町ではカモメが飛び交ったりもする。本作を遊んでつくづく思ったことだが、良いマップとは現実世界と同様に動くのだ。

ちなみに作者のたーゆ氏いわく、本作は元々、スーパーファミコン後期の古き良きレトロRPGを目指して作成したと語っている。歩いていてワクワクするような、次の街やダンジョンを見て回りたいようなマップになるように仕上げたとのこと。初志貫徹というところだろうか、とても納得感のある言葉である。

アニメ―ション&エフェクト

とにかく美しいエフェクトや滑らかなアニメーションは本作ならでは

次に、とにかく良く動くアニメーションと美しいエフェクト。これこそ作者がもっとも力を入れたポイントである。通常攻撃から特技、防御動作、勝利ポーズ、やられ動作。あらゆる面で独自のアニメーションが組み込まれている。この滑らかなアニメーションに加え、随所に美しいエフェクトが散りばめられているのだ。

序盤は使えるスキルが少なく実感し辛いかもしれないが、中盤に差し掛かり剣技・魔術が揃ってくるとその凄みを実感できるはずだ。なお、アニメーションはパラパラアニメの原則で作られており、エフェクトは有料素材を購入し足りないものは自作しているとのこと。フリーゲームだからといって製作費も無料というわけではないということか。。。

なお、戦闘アニメのスピード感がやや遅いという意見もあったようだがVer2.0.0で解消された。ちなみに高速化オプションもあり、それを有効にすることで更に早くなる。

戦闘ボイス

本作はもともとはボイス無しであったが、Ver2.0.0アップデートにて戦闘中フルボイスの作品へと進化した。まだまだフリーゲームでボイス有のゲームは珍しい印象だし、メインキャラはもちろん、アシストキャラにも漏れなく声が入っている。なかには一部の雑魚キャラにも台詞があったりと、なかなか仕事が細かい。

それもただボイスが入っただけではなく、特に本作の場合は様々な相乗効果を感じる。
まずはゲームシステムとの相性の良さである。持ち前のグラフィックは勿論だが、滑らかに動くアニメーションと共に発せられる音声には一体感があり、全く違和感が無いのだ。古いドラクエ式のフロントビュー戦闘だとしたらこうはいかないだろう。

そして最大の相乗効果は、どの声優さんも演技力が高く、違和感なく演じられていることだ。好きな声優さんを挙げ始めたらキリがないのでここでは省略しておくが、、、商業ゲームでさえイメージと合わないキャラが居たりするなか、フリーゲーム相当でよくもここまでクォリティの高い声優さんが集まったものだと感心する次第であるいや本当に

ゲームシステム

本作はゲーム序盤では仲間やスキルが揃ってないのもあり、普通のサイドビュー戦闘とあまり違いは無い。しかしスキルの揃ってくる中盤以降はやれることがグッと増え、戦略の幅が広がってくるのだ。

本作独自の戦略ポイントをざっと挙げるとこんなところだろうか。
もちろんここに更に属性相性や装備品、アイテム利用といったRPG定番要素も絡んでくる。
〇DPをオーバードライブのために使うか、アシストスキルのために使うか。
〇スキルツリーをどのように構成するべきか。
〇スタガー&ダウンをどのタイミングで発動させるか。
〇ダウン発生後のコンボ構成をどのように組み立てるか。

逆に言うと、ゲームシステムを理解していないまま戦うと特にゲーム中盤以降は苦労することになる。難しく感じるようであれば難易度と共に戦法を見直すことをオススメする。

気になった点

とくになし

本作は公開当時のバージョンこそ、クリアまで7時間程度とRPGとしてはやや控えめにも感じるボリューム感であり、多くのキャラクターが登場する割にはシナリオの深堀りがイマイチな印象はあった。

しかし、Ver2.0.0になり補足シナリオクリア後要素、更にはバトルボイスも導入。その結果として戦闘の臨場感が増し、シナリオに深みが出て全体的なボリュームアップに繋がった非常に良いアップデートであった。更にVer2.1.0では『風と花曲のアンブレラ』のコラボイベントも追加され、前述したマイナス要素は全て消え去ったと考えて良いだろう。

総評

本作のキャッチコピーを考えるとしたら『古き良き王道レトロRPGが今ここに』あたりだろうか?私はこれが決して誇大広告ではなく、当時を思い起こさせる演出で溢れていると感じたからだ。当時の古き良きRPGに触れてきた人達はきっと懐かしい気持ちに浸れるだろう。加えてVer2.0.0以降の大幅アップデートでクォリティアップし更に遊びやすくなった。新規の人は勿論、Ver1.0プレイ済みの人も是非遊んでみて欲しい。

ゲームプレイ

Freem!(Windows)

Freem!(ブラウザ)

脚注

  1. ただし遊べるようになるのはゲーム終盤である点に注意 ↩︎
  2. 粒子を用いた映像効果のことで、粒子の大きさや量、出現タイミングや時間を調整して表現する技法のこと ↩︎
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